CA州のPAS合法化に、「YouTubeが歴史を作った」「OR州とは状況が違う」とBioEdgeのCook

10日土曜日のBioEdgeのニュースレターで
BioEdge編集長の Michael Cookが以下のように書いていました。

This week YouTube made history. Literally. Assisted suicide became legal in California after Governor Jerry Brown put his signature on a law passed by the state's legislative assembly and senate. And it would never have happened without a YouTube video which was released on this day, exactly one year ago.

今週、YouTubeが歴史を作った。文字通りの意味で。

カリフォルニアで、ジェリー・ブラウン知事が州議会を通過した法案に署名をし自殺幇助が合法となったが、
それはちょうど1年前のこの日に公開されたYouTubeビデオなしには起こるはずのなかった出来事だ。


Compassion & Choices, America's leading right-to-die group, financed, produced and promoted a short video about Brittany Maynard, a 29-year-old, recently married woman with a brain tumour. She was "forced" to move to Oregon where assisted suicide is legal. The video went viral and was seen by millions of people who watched Brittany plead tearfully for the right to die.
It shows the immense power of story-telling in an era which respects emotions more than reasoned argument.

脳腫瘍をわずらう29歳の新婚女性、ブリタニー・メイナードさんについて、短いビデオを費用を出して制作し広めたのは、米国で死ぬ権利運動を率いる団体であるCompation & Choicesである。

メイナードさんは自殺幇助が合法となっているオレゴン州に引っ越すことを「強いられた」というのだ。

ビデオはあっという間に広がり、涙ながらに死ぬ権利を認めてほしいと説くブリタニーさんの姿を何百万人もの人が視聴した。

そこに見えるのは、理性的な議論よりも情緒の方が重んじられる時代における、ストーリー・テリングの計り知れない力である。



ちなみに、C&Cは3月の法案提出の際にも、今回の知事の署名の直後にも、
新たにブリタニーさんのメッセージビデオを公表して、
生前に撮っておいたビデオを戦略的に活用している ↓









なお、BioEdgeのCA州の合法化に関するエントリーから
注目すべき点をメモっておくと、

・C&Cの次のターゲットはNY州。
 そのためにベテラン・ロビイストの Corinne A Carey氏が
NY州のキャンペーン・ディレクターとして雇われたとのこと。

・CA州の法律はOR州の法律をモデルにしているが、
 CA州は米国内でも最も格差が大きな州。

 シリコン・バレーの富裕層はこの法律のセーフガードをすべて享受するだろうが
 セントラル・バレーの貧困層はその隙間に落ちる可能性がある。

 人種構成でみても、
OR州のアフリカ系米国人は2%であるのに対して、
CA州のアフリカ系米国人は7%。

OR州のヒスパニック系が12%であるのに対して
CA州のヒスパニック系は39%。

アジア系も
ORでは4%であるのに対して、
CAでは14%。

・CA州は米国中で最も訴訟好きな州でもある。
 これまでにも例外的なケースの訴訟で規制にくさびを打ち込んできた。
 この法律はなぜ18歳という年齢制限があるのか。
 なぜ終末期の人だけなのか。
 なぜ精神障害の苦しみは認められないのか。
 などなど弁護士にとって「死ぬ権利」は訴訟の宝庫になるだろう。