2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オランダのプライマリー・ケアでVSEDは既に広がっている

15日の以下のエントリーと、 終末期の人工的栄養の拒否と自殺であるVSEDとは区別を、と看護師の論文(2015/9/15) 直前エントリーに引き続き、 Ann Fam Medに掲載された オランダでのVSED(自発的飲食停止)の実態調査報告論文を。 Primary Care Patients Hast…

「PAS合法化されていない州の人のため、VSEDにガイドラインを」とQuill医師

15日に以下のエントリーで紹介した論文は 同時に他の2本とあわせて掲載になったものだったので、 ちょっと間が開きましたが、その2本を読んでみました。 終末期の人工的栄養の拒否と自殺であるVSEDとは区別を、と看護師の論文(2015/9/15) まずは、NY州、ロチ…

土壇場で19歳女性の安楽死を拒否したGP、家族に訴えられる(オランダ)

Milou de Moorさん(19)は12歳の時から 狼瘡(ろうそう)《種々の皮膚のびらんや疾患を特徴とする》をわずらい、 その症状として鬱病や意識喪失、神経痛などに苦しみ、 3年以上前に安楽死を要望。 家族と医師らがメディアに語ったところでは 両親も同意し、オ…

Not Dead Yet、CA州知事宛にPAS合法化法案の拒否を求める書簡

Not Dead Yet のDian Colemanさんが CA州のJerry Brown知事に宛て、PAS合法化法案を拒否するよう訴える書簡を 9月21日付で送っています。 NDY’s Letter to Governor Jerry Brown Urging Veto of Assisted Suicide Bill Not Dead Yet, Sepbember 22, 2015 …

元ヘッジファンド・マネジャーの製薬会社CEOが薬の値段を40倍も吊り上げて開き直り、ファーマ業界からも総スカン

62年も前からあった薬、Daraprimの値段を 一錠18ドルから750ドルに40倍も吊り上げたのは、 Turing 社のCEO Marin Shkreli氏(32)。 同氏は、以前はヘッジファンドのマネジャーだった。 Daraprimは、 HIVとかガンの患者では命取りとなる寄生虫感染の治療薬。…

岸本英夫 『死を見つめる心』

岸本英夫『死を見つめる心 ガンとたたかった十年間』(講談社 1964) 私が読んだのは上記ですが、 講談社文庫もあるようです。 Amazonの文庫版のページから ↓ 内容紹介 人間が死というものに直面したとき、どんなに心身がたぎり立ち、猛り狂うものか──すさま…

2015年9月24日のメモ

Craig Wallaceによる「死んだ方がマシか? 障害と安楽死についてピーター・シンガーが分かっていないこと」 http://www.crikey.com.au/2015/08/17/better-off-dead-what-peter-singer-doesnt-get-about-disability-and-euthanasia/?wpmp_tp=0 PAS合法化に向…

勝村久司 『僕の「星の王子さま」へ』 3

前のエントリーからの続きです。 この本を読みながら、勝村夫妻の体験と 私たち夫婦の体験が重なっていると感じることは他にもたくさんあるのだけれど、 私がこの本をどうしても読んでみたかったのは、なによりもまず、 入所施設で保護者が異議申し立ての声…

勝村久司 『僕の「星の王子さま」へ』 2

前のエントリーからの続きです。 理栄さんは次男の良司くんの出産後に、 管だらけの息子と初めて対面した時に気丈に涙をこらえたために 「母性が足りない」と判断され、教育的な意図で搾乳を続けるよう 指導され、辛い思いをしたという。 私も、海がNICUに入…

勝村久司 『僕の「星の王子さま」へ』 1

勝村久司『僕の「星の王子さま」へ』 (幻冬舎文庫 2004) 「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人で、 現在も医療事故調査制度の問題点を鋭く指摘するなど、 医療事故や安全の問題を中心に 患者の立場から医療の壁に挑み続けておられる勝村久司さ…

パキシルの効果と安全性、元論文データの再検証で新たに否定される

抗ウツ剤パキシルを巡るグラクソ・スミス・クライン(GSK)のスキャンダルについては 2008年に前のブログ出拾った以下の情報などで知るようになりました。 抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17) 抗ウツ剤めぐる研究…

グリーフケアも意思決定支援も「かかわり」も、みんな「あなた」と「わたし 」の間に

直前エントリーのコメントを書いてから、 わざわざ前の職場にまで何度も来てもらえることとか、 余分な時間と労力をかけてもらえることだけを喜んでいるように受け止められてしまうと、 「仕事なんだから、そんなのやってられない、パンクするに決まっている…

グリーフ・ケアと医療をめぐる意思決定について、ぐるぐるしてみた

こちらのエントリーのコメント欄でのやりとりに触発されて、 yaguchiさんがおっしゃっているグリーフケアより、 もう一つ手前の段階のことかも、ちょっと別のことかも、という気はしつつも、 自分自身の考えを整理するためのメモとして。 例えば、何かをキッ…

【拡散希望】ドキュメンタリー映画「風は生きよという」 (風とは人工呼吸器の音のことです)

イントロダクション 呼吸器から吹く風に乗り、つながりあう人と人との物語。 もしもあなたが、病気や障害のために身体を動かせなくなったとしたら、 どんな人生を想像しますか? 映画が映し出したのは、ふつうの街でふつうの生活を送る人びと。 特別なことと…

CA州のPAS合法化法案議会通過に関して、情報いくつか

9月10日の下院に続いて12日に上院を通過したCA州のPAS合法化法案については これまで以下のエントリーなどで拾ってきました。 ブリタニーさん死後5ヶ月にして、3本目のビデオでCA州議員に合法化を訴え(2015/3/29) CA州医師会、PASに反対の立場を捨て中立に(…

85歳の女性、娘を亡くして5分後に「この悲嘆には耐えきれない」と決め、3か月後にPAS(ベルギー)

女性は85歳の Simona De Moorさん。 夫を74歳で亡くした後、 それまでも仲の良かった娘さんと一層親密になっていたが その娘さんが58歳直前、ありきたりの手術の心停止を起こして死亡。 「もう私にはこれ以上生きる理由がなくなりました。 喪の悲しみは耐え…

終末期の人工的栄養の拒否と自殺であるVSEDとは区別を、と看護師の論文

Annals of Family Medicineの2015年9-10月号に掲載の論文。 「自発的飲食停止(VSED)、医師幇助自殺(PAS)、それとも人生の最終段階でどちらもなしで? PASはNO。VESDは状況次第」 著者はオレゴン州ポートランドの 医療倫理センターの看護師。 Voluntary …

加藤眞三 『患者の力 患者学で見つけた医療の新しい姿』

加藤眞三『患者の力:患者学で見つけた医療の新しい姿』(春秋社 2015) これもまた、以下の本で考察されていた 「患者中心の医療」に向けた医療改革を医師が説く本。 松繁卓哉著『「患者中心の医療」という言説 患者の「知」の社会学』 1(2015/8/31) 松繁…

オランダのNVVE、高校で安楽死教育をスタート

オランダで機動安楽死チームを派遣する終末期クリニックを運営するなど 安楽死推進運動を担ってきたNVVEが、 今度は学校で安楽死推進教育に乗り出した模様。 高校生を対象とするカリキュラム名前は”euthanasia- dead normal” 安楽死について「アクセス可能な…

青い目&金髪のはずだったのに黒人ドナーの精子で……と同性愛カップルがロングフル・バース訴訟

白人の同性愛カップル、 Jennifer Cramblettさん(37)とAmanda Zinkonさんは、 現在3歳の娘 Paytonちゃんを体外受精で妊娠した際、 注文したのは青い目&金髪のドナー精子だったのに、 誤って黒人ドナーの精子が使われたとして、 Midwest 精子銀行を相手取…

CA州のPAS合法化法案、下院に続き上院も通過

引き続きの速報です。 昨日のメモで拾っていたように、 水曜日に下院を通過したCA州のPAS合法化法案、 昨日金曜日に、上院も通過。賛成42 対 反対33。 知事署名へ。 http://www.reuters.com/article/2015/09/12/us-usa-california-assistedsuicide-idUSK…

英国のPAS合法化法案は、またも潰える

英国のPAS合法化法案は、否決され、 選挙で審議に持ち込めずに終わったFalconer議員の法案に続き、またも潰える。 反対330 vs 賛成118。 とりいそぎ速報的に。 http://www.theguardian.com/society/2015/sep/11/mps-begin-debate-assisted-dying-bill http:/…

2015年9月11日のメモ

またも脳死と診断された男児(13)の生命維持停止を巡る論争。Michael LaVecchiaくん。 http://www.northjersey.com/news/mother-of-boy-declared-brain-dead-after-route-80-crash-says-he-s-still-showing-signs-of-life-1.1403496 http://medicalfutility…

知的障害者の問題行動に対して向精神薬が過剰に処方されている(英)

BMJに気になる論文が発表されています。 Mental illness, challenging behaviour, and psychotropic drug prescribing in people with intellectual disability: UK population based cohort study Rory Sheehan, academic clinical fellow1, Angela Hassiot…

5000人以上が抗がん剤を拒否されることに。これでPAS合法化はまずい、とSaunders医師(英)

コストを理由に抗がん剤を拒否される患者がいないように、と キャメロン首相の公約で2011年に出来たのが the Cancer Drugs Fund。 NHSの分配機関が認めない治療を5万人以上の患者に提供してきたが ここへ来て、財源が大きく不足。 先週、保健当局は、抗がん…

竹内整一『「かなしみ」の哲学』

竹内整一『「かなしみ」の哲学 日本精神史の源をさぐる』 NHKBOOKS, 2009 こちらでエントリーにした『やまと言葉で哲学する』が初めてだったので、 この人のものをもう一冊読んでみたいと思って図書館で借りてきた本。 つまり、かぎりあることを「かなしむ」…

看護師さんのコーヒー

もう15年くらい前にもなるのだろうか。 海がお世話になっている療育園で ひどく管理的な師長さんが来てから子どもたちの生活がどんどん狭められていき、 挙句に子どもたちが夕食後に早々とベッドに入れられて それが保護者には内緒にされていたことが判明…

竹内整一『やまと言葉で哲学する:「おのずから」と「みずから」のあわいで』

『やまと言葉で哲学する: 「おのずから」と「みずから」のあわいで』 竹内整一 春秋社 2012 われわれはしばしば、「今度、結婚することになりました」とか「就職することになりました」という言い方をするが、そうした表現には、いかに当人「みずから」の意…

英国で「働け」と言われて死者多数: 疾病給付見直し、障害者差別の疑いで国連が調査?:

2015年8月31日のメモで拾ってから、気になっていた話題。 労働と年金大臣 Iain Duncan Smith氏が 病気で働けない人のための手当の受給要件を見直し、 障害者の一部を対象から外して就労させるという新たな方針を打ち出して、 「障害者に対する新たな攻撃」だ…