パキシルの効果と安全性、元論文データの再検証で新たに否定される

抗ウツ剤パキシルを巡るグラクソ・スミス・クライン(GSK)のスキャンダルについては
2008年に前のブログ出拾った以下の情報などで知るようになりました。


この時にパキシルについて書いているのは以下。

Glaxoスキャンダル

現在、注目を集めているのはPaxil の製造元のGlaxoSmithKlineで

FDAは1992年12月にPaxilを認可したが
実はGlaxoの治験で、Paxilを飲んでいる患者には
擬似薬を飲んでいる患者よりも8倍の自殺行為が見られ、
1989年の段階でGlaxoはPaxilの副作用で自殺念慮が起こることを知っていた。

知っていながら、同社がデータを操作して
虚偽の報告書をFDAに提出し認可を受けたために
本来なら添付されるはずの警告なしに販売されて
副作用により自殺者が相次いだ。

13才の子どもを含む自殺者の遺族らから訴訟が起きている。

これら訴訟の存在が明らかになったのを機に、
現在、米国法務省と上院議会財務委員会が調査中である。

上院の調査は前に当ブログでも紹介したGrassley議員によるもので
同議員は「要するにGlaxoはFDAをたぶらかしたのだ。
製薬会社がありのままを語らず、情報を隠して
FDAと国民をミスリードするような国には住んでいられない。
彼らは体内に取り込む薬を売っているのだ。スニーカーとは違うんだぞ」と。


そのパキシルについて、BMJに発表された論文で
GSKが10代の子ども達への安全性と効果があるとした2001年の論文のデータを
豪アデレイド大のJon Jureidiniら様々な国の研究者のチームが
1年間かけて詳細に再検証したところ、

明白な効果はなく、重大な副作用について不正表示が行われた、と結論づけている。

2001年論文の説得性を疑う声はずっとあったが、
自殺を含む暴力衝動には多くの要因が関わるなど、
抗ウツ剤の副作用に関する確固たる実証が困難なまま、

子ども達への抗ウツ剤の処方は
ブラックボックス警告が出る前には
2002年から2003年で36%も急増したともいわれる。

今回の再分析が意義深い点として、
最近の論文不正の急増により論文撤回の件数のうなぎのぼりとなっており、
心理学論文のサンプルを調査したら、半数以上で結論が破綻していたほど。

ヴァージニア大の心理学教授 Brian Nosekは
「この論文から、心理学コミュニティが
目を覚まし始めていて、自らの仕事を点検しているということが分かります。
それは、科学が本来すべきこと――すなわち自己修正――をしている、
ということです」

また、BMJの副編集長の Peter Doshiは、
今回の論文は「元論文の撤回を求める声を再燃させ、同時に
学術的研究機関に対して、多くの不正の疑いに公式に対応するよう
これまで異常にプレッシャーをかけるものである」



Approved anti-depressant deemed unsafe
BioEdge, September 18, 2015


上の二つの記事を読み比べてみると、
NYTって、どこか歯切れが悪い書き方のように私には感じられるんだけど……。


なお、
GKSといえば、日本でもHPVワクチンをめぐって、議員さん達との親密な関係ほか
様々に取りざたされており、

2013年には中国で医師や官僚への贈賄と性的便宜供与で逮捕者を出し、
世界規模のスキャンダルとなりました ↓
医師や官僚への贈賄でグラクソ幹部から逮捕者(中国)(2013/7/12)