2015-01-01から1年間の記事一覧

恋するウチの娘が「家に帰りたくない」と泣きやがった夜……

10月にこちらのエントリーでも書きましたが、 ここしばらくウチの娘は「支援職のHさんLOVE!」ブームで、 連絡ノートも「Hさんネタ」が多いこと。 夜、もう眠りこんでたのに 他の人の介助でHさんが部屋に入ってくるや、バチッと目を覚まして せっかくのポジ…

米国の病院、脳死判定手順に今なお大きなバラつき

米国全土で脳死判定の方法と基準を標準化しようと 2010年に米国神経学会が脳死判定ガイドラインを策定したが、 多くの病院で、ガイドライン通りの判定が行われていない実態が明らかになっている。 同ガイドラインの策定にもかかわったイェール大学のDavid Gr…

生命維持継続を求めて父親が銃を持って病院に乗り込んだら、その騒ぎの間に「脳死」の息子が意識を回復した「無益な治療」事件 (TX州)

1月に「無益な治療」論最先端のテキサス州で起きた、 映画「ジョンQ」ばりの事件。 この人の写真には見覚えがあるので、当時のニュースは読んだはずなのだけど、 検索してみてもエントリーでは拾っていなかった。 27歳の息子が脳卒中を起こして入院し、 父親…

2015年12月29日のメモ

ええええ―――――っ、こんなお医者さんが出現していたのぉぉ―――と絶叫してしまった、「ものがたり診療所もりおか」さんのツイート。ナラティブで認知症の人や家族を支える専門家ナラビットたち、とにかく、スゴいんです。この前から生命倫理学会とびわこ学園実…

病人自主権利法が議会を通過(台湾)

自己決定能力を失った時に備えて 成人に事前指示の作成を権利として認める法律 「病人自主権利法(the Patient Autonomy Act)が20日、台湾議会を通過。 3年後の施行。 事前医療指示により 生命維持治療中止が認められるのは、以下の5つの状態。 ・終末期の…

ケベック最高裁、AID法の合法性を認める

ケベックの高等裁がAID法に連邦刑法との齟齬を指摘し、州当局が上訴していた訴訟で 最高裁は上訴を受けて12月10日の同法の施行を認めていましたが、 22日、最高裁はAID法の合法性と実効性を認めました。 カナダの連邦最高裁が今年2月の判決で PAS禁止を否定…

英NHS、知的障害者の入院入所中の予期せぬ死亡事例の多くを調査せず

英国で知的障害者、精神障害者への医療と入所型ケアを担うNHSトラストが 予期せぬ死亡事例の多くを調査していなかったり、件数を少なく報告しているなどの実態が判明し、 大きな問題になっています。以下、3つの記事から、かいつまんで。 Southern health NH…

2015年12月16日のメモ

【重要】12月14日の社会保障審議会 障害者部会に提出された資料「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて(案)」 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000106993.pdf 上記の関連…

「地域医療ジャーナル」1月「10年後の医療、100年後の医療」特集号に記事を2本書きました

以下のエントリーでお知らせしたように 今年の8月から「地域医療ジャーナル」というウェブ・マガジンに 記事を書いています。 【お知らせ】ウェブ・マガジン「地域医療ジャーナル」の記者になりました(2015/7/3) 「地域医療ジャーナル」7月号増刊号「EBMの父…

2015年12月3日のメモ

豪ACTとノーザン・テリトリーでPASを合法化する法案、上院に提出。 http://www.sbs.com.au/news/article/2015/12/02/euthanasia-laws-introduced-senate http://www.sbs.com.au/news/article/2015/12/01/right-die-bill-heads-parliament スコットランドのパ…

収容所の難民から「いっそ海に棄てるか、ガス室か安楽死を」と公開書簡(豪)

豪Manus島の難民センターに収容された人々が 入管から、受け入れてくれる国など地球上にはないと言われるようになったことから、 Malcolm Trunbull首相とPeter Dutton入管大臣に宛てて 解放を求める要求に回答もなく、 現在のようにゴミと同様の扱いで収容さ…

英国の保護裁判所、「キラキラ生きられないなら死にたい」50歳女性の人工透析拒否を認める

50歳の女性、Cさんは 衝動的で自己中心的な意思決定を重ねて人生を送ってきた人なんだとか。 結婚しては夫の金を無思慮に使いまくり、金がなくなると別れることを繰り返して 4回の結婚と数多くの恋愛遍歴を経て、3人の娘と孫が一人いる。 節度のない酒の…

ケベックの高等裁、12月10日のAID法施行に「待った」

カナダの安楽死、医師幇助自殺をめぐる状況は 州レベルと連邦政府レベルが同時進行していてややこしいのですが、 ケベック州は昨年6月に州議会でAct Respecting End of Lifeという法律が成立し、 来週12月10日に施行とされており、 すでに医療専門職の職能団…

オランダで、医師の手を借りずに“peaceful pill”による“DIY安楽死”を認めようという声

安楽死クリニックで機動安楽死チームによる安楽死を担っている オランダの安楽死推進団体のNVVEが、今度は、 特に病気ではなくても「もう十分に生きた」として「理性的自殺」を希望する人たちが 医師の手を借りなくても自殺できるよう、”peaceful pill ”の認…

2015年11月26日のメモ

カリフォルニア大学アーヴィン校医学部の医療倫理プログラムのディレクターで精神科教授のAaron KheiriatyがWPのオピニオン欄で、自殺幇助を合法化した州で自殺件数が増加していることを指摘し、PAS合法化は自殺に対する社会の姿勢を変える、と警告。 https:…

製薬会社の臨床試験はまだまだ透明性が低いとの調査結果

Bioethics InternationalというNPOがBMJ誌に発表した調査結果によると、 2012年の新薬の臨床試験でディスクローズされていたのは3分の2のみ。 さらに、レビューを受けた薬の約半数は、 臨床試験の第2または第3フェーズの少なくとも1つがディスクローズされ…

ケベック州の安楽死法の実施ガイドは「死亡診断書にMADとは書くな」と指示

12月10日に施行となるカナダ、ケベック州のAct Respecting End of Lifeでは、 死亡診断書の「死因」の欄にMAD(medical aid in dying)ではなく 安楽死を認められた理由となった、もともとの病気を書く、という話は、 2015年9月11日のメモで拾っていますが、…

海老原宏美・海老原けえ子『まぁ、空気でも吸って 人と社会:人工呼吸器の風がつなぐもの』

海老原宏美・海老原けえ子『まぁ、空気でも吸って 人と社会:人工呼吸器の風がつなぐもの』(現代書館) 著者の一人、海老原宏美さんは、 以下の映画の、いわば「主役」の人工呼吸器ユーザー ↓ 【拡散希望】ドキュメンタリー映画「風は生きよという」 (風と…

保護裁判所、最小意識状態の68歳女性の生命維持停止を命じる(英)

保護裁判所ということは、 MCA(文末に関連エントリー)に法った手続きがとられたということなんだろうと思うのですが、 最小意識状態と診断された患者から栄養と水分が引き上げられる 英国で初めての事例とのこと。 (ただし、患者の死後に判断が出たとはい…

今日は「ケアラー(家族など無償の介護者)の権利の日」

英国とスコットランドでは、今日は「介護者の権利の日」。 ここ数日、介護者の権利にまつわる さまざまなニュースやメッセージが出てきています。 調査によると、 英国やスコットランドで週35時間以上の無償の介護を担うケアラーのうち、 半数以上が、ケアラ…

英国裁判所、Tracey訴訟に続きWinspear訴訟でも「DNA指定には患者や家族との相談が前提」

英国では法的にはDNR(蘇生無用)指定に患者や家族の同意は無用とされていますが、 患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して 訴訟になったり、大きな論争になってきました。 大きな事件としては以下など。 Carl Winspe…

2015年11月18日のメモ

やっぱりドイツのユダヤ人はPAS合法化に反対していた。 http://www.jewishjournal.com/world/article/german_jewry_applauds_defeat_of_liberalized_assisted_suicide_laws 【関連エントリー】 ドイツ議会にPAS合法化法案(2015/6/11) 2015年11月11日のメモ …

ネバダ州最高裁、米国神経学会の脳死基準の合法性に疑問

2015年10月21日のメモで拾った Aden Hailuさんの脳死診断の妥当性をめぐる米ネバダ州の裁判。 なんだか、面白いことになっているみたい。 Aden Hailuさん(20)は今年5月28日に St. Mary’s Regional Medical Centerの医師によって脳死と診断されたが 代理人…

C&Cとポウプらが緩和ケア医学会誌に“AID”臨床基準&ガイドラインを発表

まるでどこかで国際的な統一でも図られたのかと勘繰りたくなるくらい、 ある時期からどこの国でもPAS推進派が PAS(physician-assisted suicide)をAID(Aid in Dying)と称するようになり、 何度もこのブログで書いてきたように PASは自殺ではない、むしろ緩…

精神障害で安楽死希望の24歳女性、安楽死を取りやめ(ベルギー)

6月に以下のエントリーで拾ったニュースの続報。 (ここでは女性はLauraという仮名になっています) ベルギーで進む精神障害者の安楽死:24歳の女性もこの夏に安楽死予定(2015/6/24) 以下の安楽死防止連合EPCのシャデンバーグのブログ記事によると、 The Eco…

デジタル・スーパーリッチの個人的好みで科学研究にゼニが分配されていく新・優生思想の時代

IT長者と科学研究の関係性について 非常に気になるニュースが2つ。 ① ロシアの億万長者 Yuri Milner他、 FacebookのMark Zuckerbergと彼のパートナーのPriscilla Chan、 グーグルのSergey Brin、ブリンの元妻でDNA解析サービス23andmeのAnne Wojcicki、 それ…

2015年11月11日のメモ

ドイツが利他的自殺幇助を合法化。ただし商業的PASは禁止。 http://citizentv.co.ke/lifestyle/germany-votes-to-criminalize-euthanasia-105119/ http://www.ibtimes.com/assisted-suicide-law-germany-passes-despite-concerns-over-nazi-association-2172…

日本病院会の「尊厳死」文書に、OTさん「おいおい、みんな俺の患者さんですけど」

日本病院会から4月に出されたターゲットの広い「尊厳死」推進文書については 以下の2つのエントリーで触れてきました。 日本病院会が「認知症者も高齢者も重症ならみんな自然死で」 次の狙いは神経難病と重症心身障害者?(2015/6/4) 日本の「尊厳(平穏)死」…

日本の「尊厳(平穏)死」、実は日本型のパターナリズム誘導「無益」論では?

ずっと前から考え続けてきたことなので、 まだ煮詰まっていないところもあるけれど、だいぶ整理できてきたので、 今の段階で一度ちゃんと書いておきたいと思って。 日本の「尊厳死」とか「平穏死」というのは みんな疑うこともなしに欧米の安楽死や自殺幇助…

ケベックの緩和ケアセンター、PAS“サービス”提供開始へ

医療的死の援助(medical aid in dying)を合法化する法律が来月12月10日に施行となる カナダのケベック州、Sherbrooke緩和ケアセンターが、 カナダ全国でPASが合法となる期限の直前に当たる来年2月1日から 終末期の患者に医師による自殺幇助“サービス”を提…