英国裁判所、Tracey訴訟に続きWinspear訴訟でも「DNA指定には患者や家族との相談が前提」
英国では法的にはDNR(蘇生無用)指定に患者や家族の同意は無用とされていますが、
患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して
訴訟になったり、大きな論争になってきました。
患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して
訴訟になったり、大きな論争になってきました。
大きな事件としては以下など。
高齢者への一方的DNRについては ↓
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
ケアホーム入所者に無断でDNR指定、NHSトラストが家族に謝罪(英)(2012/5/8)
昨年、このうちTracey事件の上訴裁の判決が出て、
DNR指定に際しては、あらかじめ患者または家族との話し合いを必要と判断。 ↓
一方的DNRめぐるJanet Tracey訴訟で、「患者との話し合いが前提」(2014/6/18)
DNR指定に際しては、あらかじめ患者または家族との話し合いを必要と判断。 ↓
一方的DNRめぐるJanet Tracey訴訟で、「患者との話し合いが前提」(2014/6/18)
そこへ今度は、Winspear訴訟の判決が出て、
こちらもTracey訴訟と同じ判断をしたとのこと。
こちらもTracey訴訟と同じ判断をしたとのこと。
Ms. Winspear as carer does not have a veto over the treatment plan but she is entitled to be consulted . . . .
The discharge of this procedural obligation is not a matter of challenging a clinical judgment as to the appropriate treatment for a patient. The formation of such a judgment is a necessary first step in the decision making process before a DNACPR notice is placed on file but not generally a sufficient one.
患者にとって何が適切な医療かをまず医師が判断することの妥当性は変わらないけれど、
だからといって、それだけで患者や代理決定者としての家族に相談もせずに
カルテに記載してよいというわけではない、
だからといって、それだけで患者や代理決定者としての家族に相談もせずに
カルテに記載してよいというわけではない、
家族に拒否権はないとしても、相談はしなければならない、と。
UK Courts Remind Clinicians - No Unilateral DNAR without Consultation
Medical Futility Blog, November 19, 2015
Medical Futility Blog, November 19, 2015
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