2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

高谷清『嘔吐』

『嘔吐』高谷清著(近代文芸社 1988) あとがきによると、ここに収録された6篇の短編小説は 1980年と1981年に書かれたもの。 10月に読んだ『支子―障害児と家族の生』が1996年の出版だったから こちらは、ざっとその15年ほど前の高谷清先生の問題意識が 小説…

2014年11月20日のメモ

NJ州の下院議会、PAS合法化法案を可決。 http://www.dailyrecord.com/story/life/wellness/2014/11/14/new-jersey-assembly-passes-physician-assisted-suicide-bill/19012137/ http://www.mycentraljersey.com/story/news/local/new-jersey/2014/11/13/new-…

オランダ保健相が安楽死のガイドライン強化を提言

オランダの安楽死監督委員会のメンバーを9年間務め、 400件の安楽死の検証に携わった倫理学者、Theo Boer教授が 7月に英国上院議会で「オランダですべり坂は起きた。過ちを繰り返すな」と 証言したことについては、こちらのエントリーで取りまとめていますが…

C&Cで100人以上の餓死自殺(VSED)を手伝った70歳の看護師(NY)

Judith Schwartzさん(70)は 終末期医療を専門にするベテラン看護師。 オレゴンやワシントンのように医師による自殺幇助が合法ではないNY州で これまで100人以上にVESD(自発的飲食停止)による自殺を指導してきた。 最初にこの問題を考え始めたのは 親友が…

スイスのNeuchatel州、患者の自己決定ならナーシング・ホームでの自殺幇助を管理者に義務付け

スイス西部のNeuchatel州(フランス語圏)の議会を通過したのは、 州政府の資金が出ているナーシング・ホームに 自殺ほう助団体のExitの代表が自分たちのサービスを宣伝させるよう強制する州法。 ホーム経営者に思想信条による拒否権はなく、 患者が死ぬと決…

オレゴン州の「尊厳死法」20周年:1994年の投票結果

そういえば、どこかのニュースでチラ見したような記憶もあるけど、 先週、オレゴンの「尊厳死法」20周年だったらしい。 Thaddeus Popeがブログでデータを取り上げているので、 これを機に、情報として拾っておこうと思って。 オレゴン州の住民投票が行われた…

自殺幇助、賛否両方の立場が歩み寄れる中間点は「緩和ケアと本人が望む治療の保障」

この記事、著者2人の名前を見た瞬間にぶったまげた。 Arther Caplan と Wesley Smith!! どちらも拙ブログでは もう数え切れないほど発言を拾ってきたけれど、 Caplanはチョー有名で、 どちらかというと穏健な(最近は個人的にはちょっと?)生命倫理学者な…

インドの不妊手術キャンプで貧困層の女性が多数、死亡

ついさっき、以下の日本語ニュースを目にした。 避妊手術で10人死亡=5時間で80人施術か―インド 時事通信 2014年11月11日 とても悲しい。 いつかこういうことが起こると思っていた。 というか、たぶん、ずっと前から起こっていたんじゃないだろうか。 ただ、…

高齢者に「予防的自殺」の提言(米)

ブリタニー・メイナード事件をめぐる メディアの「死ぬ権利」騒ぎからいろんなものが出てきていて、 11月10日のメモでも拾ったように、 今度はCA州で肺がんの50代の女性がPASを求めていたりもするのだけれど、 NYTのご意見欄に、 高齢者には「予防的自殺」を…

中絶をめぐる「女性の決定権」論議から「母に殺させるな」の先へ

約一ヶ月前に某所で出生前遺伝子診断についての議論に加わり、 その際にも、中絶が「女性の決定権」なのだとすると、 じゃぁ「胎児の生存権」は否定されるじゃないか、という話が出て、 利光恵子さんの『受精卵診断と出生前診断―その導入をめぐる争いの現代…

『神も仏もありませぬ』佐野洋子

「神も仏もありませぬ」佐野洋子 筑摩書房 (ただし私が読んだのは2003年の初版単行本) 著者63歳から65歳、 北軽井沢に住み始めた頃のエッセイ。 この中の、 「フツーに死ぬ」という章が むちゃくちゃ良かった。 がんになった愛猫のフネの看取り体験を書い…

2014年11月10日のメモ

【ブリタニー・メイナード事件関連】 Brittany Maynardさんの幇助自殺についてBioEdgeのMichael Cookが勇気ある「オピニオン」を書いている。 Woman says she will die; woman says she won’t die; woman dies. How can anyone now be sure that Brittany di…

湯灌の儀式

「湯灌の儀式」なるものを初めて見た。 その丁重さに打たれた。 「慎んで○○させていただく」という言葉の精神が形ある動作になったらこうなる…… というものを見せられている、という感じがする。 男性の方が頭を担当。 女性の方が体を担当。 足を片方ずつ両…

A・ウーレット『生命倫理学と障害学の対話』刊行になりました。

【7日追追記】 この本を読んでくださる方へお願い。 ウーレットの本書での終末期に関する考えは、 本書刊行後にさらに変化しております。 それについては最後の「補論」にも書いておりますが、 今年、ウーレットはこの記事にTBしたエントリーで紹介した論文 …

「名優の自殺と『死ぬ権利』のダブルスタンダード」

先月号の『介護保険情報』の連載「世界の介護と医療の情報を読む」で書いた 「VSED(自発的飲食停止)」と「理性的自殺」こそ、 「死ぬ権利」運動の最先端で起こっている「自殺の勧め」と「自殺への支援」なのですが、 ブリタニー・メイナードさんの死は「医…

C&Cのトップは、OR州の尊厳死法を設計した元HMOの幹部

【Brittany Maynardさん関連エントリー】 10月14日のメモ 医師の自殺幇助は「社会的行為」……Brittany Maynard事件(2014/10/24) Not Dead YetとSecond ThoughtsからByock医師への賛同表明(2014/10/25) 2014年10月28日のメモ Brittany Maynardさん、翻意(2014/…

ブリタニー・メイナード事件で、BioEdgeのMichael CookがC&Cの戦略に警鐘

【Brittany Maynardさん関連エントリー】 10月14日のメモ 医師の自殺幇助は「社会的行為」……Brittany Maynard事件(2014/10/24) Not Dead YetとSecond ThoughtsからByock医師への賛同表明(2014/10/25) 2014年10月28日のメモ Brittany Maynardさん、翻意(2014/…

Brittany Maynardさん、自殺

まず、一つ書いておきたいこととして、 日本のメディアはこのケースを「安楽死」として報じており、 「安楽死」と「尊厳死」は違うのだ、 「尊厳死」とは「自然死」なのだ、と 誤った解説がされているようですが、 「安楽死」は一般に 医師が致死薬を注射す…