オランダ保健相が安楽死のガイドライン強化を提言

オランダの安楽死監督委員会のメンバーを9年間務め、
400件の安楽死の検証に携わった倫理学者、Theo Boer教授が
7月に英国上院議会で「オランダですべり坂は起きた。過ちを繰り返すな」と
証言したことについては、こちらのエントリーで取りまとめていますが、


7月16日にはBoer教授は
National Right to Lifeに論考を寄稿しています ↓
http://www.nationalrighttolifenews.org/news/2014/07/dutch-ethicist-assisted-suicide-dont-go-there-2/#.VGyD4ckQjct

こうしたBoer氏の発言を受けて
オランダのEdith Schippers 保健相は
安楽死の規制をガイドラインで強化することを提言。

具体的には、

認知症の人の安楽死には老年医が必ず関わる。
精神障害のある患者の場合には精神科医が必ず関わる。
・複雑なケースでは専門医が1人ではなく2人関与する。

Dutch Health Minister calls for tighter euthanasia guidlines
National Right to Life News Today, November 18, 2014


7月の英国議会でのBoer発言から、その一部を以下に。

オランダの安楽死法を自分は支持してきたし、2007年にも
監督方法がしっかり整備されたこの法律では、すべり坂は起きないと書いたこともある。

しかし、我々はおおいに間違っていたのである。
2008年以降、安楽死者は毎年15%の割合で増加し、2012年には4188件を数えた。
この調子で行けば今年か来年にも6000件の大台に乗るだろう。
安楽死はガン患者の死に方のデフォルトとなろうとしている。

私はかつてオランダの安楽死法の支持者でした。
しかし12年間の経験を経た今では、考えがずいぶん変わりました。


オランダでは2月にも
別の医師から以下の指摘が出ていました ↓
オランダ安楽死運動のパイオニア精神科医が「ここ2年で安楽死法は脱線してしまった」(2014/2/20)

これらのオランダでの指摘、
12年にベルギーの安楽死についてEIBの報告書が指摘していたことと同じ ↓
ベルギーの安楽死10年のすべり坂: EIB報告書 1(2012/12/28)
ベルギーの安楽死10年のすべり坂: EIB報告書 2(2012/12/28)