2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

英国MCA報告書:特に医療のパターナリズムと福祉の責任回避“文化”で、法の精神が実践に浸透していない

3月28日のメモで拾った 英国のMental Capacity Act 2005の検証報告書のサマリーを読んでみた。 報告書全文はこちらに ↓ http://www.publications.parliament.uk/pa/ld201314/ldselect/ldmentalcap/139/139.pdf なお、MCAについては 『介護保険情報』2008年1…

「生ききることができなければ、死ぬに死にきれないのに」

末期がんの友人と美術館へ行った。 彼女の車いすを押して どこか異様でもある「小さな工芸品の世界」を見て回った後、 美術館の向かい側の喫茶室までの坂を 車いす初心者マークの彼女が「無理だ」というのを、 「26年間車椅子を押してきた私が行けるいうて言…

四肢マヒの議員が提出するカナダのPAS合法化法案と、そのダブスタぶり

カナダ議会に医師による自殺幇助合法化法案が提出される、というニュースが 今の「死ぬ権利」議論のダブスタをくっきりと炙りだしている。 2本の法案を提出する(この記事の通りだとすると27日に提出済み)のは 保守党議員で、1996年に事故で四肢マヒとなっ…

2014年3月28日のメモ

英国のMCAが結局は重症障害者への医療の切捨てのアリバイとなるのではないかということについては、ずっと懸念してきたし、実際にMCAに基づいた保護裁判所の判断で植物状態の人への生命維持中止が認められたり、本人の最善の利益だとして知的障害者に本人の…

「事件じゃ! ○○先生が笑ろうた!!」

直前エントリーに えりさんのコメントをいただいて思い出した、 ずっと昔の総合病院の、なかなかな小児科医の話を――。 私たちがその病院にお世話になり始めた頃、 そのドクターはすでに偉い人で、そして滅法おそろしい人で、 私たち母親は診察のたびに緊張を…

重症障害者については、実は医療職だってイメージ先行

前のエントリーで読んだ対談で 安藤泰至氏が以下のような発言をしている。 それから病院のなかの医療でできることには非常に限界があるわけで、死にゆく人のケアについては病院以外、医療以外のところで実際にできることがいっぱいあるんですけど、病院勤務…

対談「超高齢社会における尊厳死 -「宗教」の立場から考える―」

ちょっと直前エントリーとも関連しそうな対談。 『現代宗教2014』の特集「老いに向き合う宗教」の 戸松義晴氏と安藤泰至氏の対談(司会は堀江宗正氏)、 「超高齢社会における尊厳死 -「宗教」の立場から考える―」 http://www.iisr.jp/wordpress/wp-content…

「尊厳死」ではなく、もはや「自尊死」:永嶋哲也氏論文

2011年に創刊された『人間と医療』という雑誌の創刊号に掲載されている 永嶋哲也『尊厳の変容―卓越、価値そして自尊へ』という論文が面白いと お知らせいただいたので、早速に読んでみた。 最近、death with dignityのスタンダードが 「救命不能性」や「終末…

米国の代理母: ベビーMもすでに28歳

代理母のMary Beth Whiteheadさんが 1万ドルでStern夫妻と代理母の契約をしながら 女児誕生後に引渡しを拒んでStern夫妻から訴えられたNJ州の事件、 いわゆる「ベビーM」事件(1988)では、 生まれた子どもの親権こそ子どもの最善の利益として 依頼者側の夫…

母を殺す男たち

英国では 女性が週に2人の割合で 現在あるいはかつてのパートナーに殺されている。 その一方、息子に殺された女性が 2012年には16人。 2013年には12人。 今年に入ってすでに母親を刺した容疑で起訴された男性が2人いる。 その中の少なくとも4人のケースで い…

脳への電気刺激で植物状態、最小意識状態の人が意識を回復

受傷から何年も経った最小意識状態や植物状態の人が、 脳への電気刺激によって一時的に意識を見せ、 中には手を動かしたり簡単な指示に従って目を動かしたり、 簡単な質問に答えることまでできる、と ベルギー、Liege大学のSteven Laureys医師らの研究報告。…

2014年3月18日のメモ

昨年12月に全国自立生活センター協議会の全国研修でご一緒した小田正利さんと海老原宏美さんの尊厳死法制化反対記事がJapan Timesに。 https://projects.propublica.org/graphics/d4d-slopegraph 4月25日、26日の両日、Not Dead Yetが医療の差し控えと中止、…

ジェーン・キャンベルさん「不況で高齢者や障害者に圧力かかっている時にPAS合法化は危険」

Jane Campbell上院議員といえば、 2009年の英国議会でのPAS合法化議論の否決に功績のあった障害当事者。 2006年に立ち上げられた Not Dead Yet UKのリーダーでもあります。 これまで当ブログでは以下のエントリーなどがあります。 Campbell/Shakespeare・Dra…

NYT「億万長者が手前勝手な理想で米国の科学を民営化している」

NYTに標題のタイトルの記事があり、 そこに、目新しい表現がある。 Science Philanthropy …… 直訳すると「科学慈善」 Science Philanthropist …… 直訳すると「科学慈善家」 記事の概要は以下。 The American Association for the Advancement of Scinenceの…

イリノイ州のトンデモ精神科医、やっぱりビッグファーマから金もらっての過剰処方

以下のトンデモ精神科医、Michael Reinstein医師についての続報。 1人でTX州の総量をはるかに越える統合失調治療薬を処方する精神科医が野放し……の不思議(2009/11/30) イリノイ州の検察長官と米国司法局は Teva製薬会社の子会社であるIVAXが メディケアとメ…

ケベック州の安楽死合法化法案、とりあえず通らず、このまま廃案か?

【16日、訂正とお詫び】 以下、13日に「否決された」と書いてしまいましたが、 投票に付された結果「否決された」ということではなくて、 時間切れでそこまでいけずに、 リベラルの非協力的態度で通過が妨害されたと 下院議長が怒っている、というニュースで…

「どうせ死ぬ人」だから「枕で窒息」させても「殺したことにはならない」?

近く審議される予定のFalconer卿のPAS合法化法案に Norman Lambケア大臣をはじめ多くの議員が支持を表明するなど、 議論が過熱している英国。 BBCが 14年前にハンチントン病の息子Nigel Goodmanさんにヘロインを過剰投与し 殺人罪に問われたものの、その後、…

2014年3月11日のメモ

ベルギー国王、3月3日に子どもの安楽死を認める法律を承認。 http://www.plenglish.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2435231&Itemid=1 NH州の「尊厳死法案」、219対66で、否決。 http://www.cbc-network.org/2014/03/new-hampshire-euthanize…

今日のボケ: お昼ごはん

お昼前に買い物に行って、帰ってきたら、 自分ひとりのお昼ごはんが3食分もあることに気づいた。 ① 冷蔵庫に入っている 昨夜の残り物のおかず(大量)+混ぜごはん。 ② なぜかパン屋で食パンを買った時に、 上記①の残り物のことをすっかり忘れたまま、 「そ…

88歳女性を巡る「無益な治療」訴訟で、病院側が敗訴(FL州)

88歳の匿名女性が下痢で入院し、人工呼吸器依存に。 病院側は 女性が「脳死であり植物状態」だとして生命維持を中止しようとしたが 息子がそれに抵抗。 病院側が中止を求めて提訴した事件で 5日、息子は代理権を濫用していないとして 判事は中止を認めなかっ…

認知症ケアのガイド『ケアの三角形』(英国)

認知症ケアのガイド『ケアの三角形』(英国) 『ケアの三角形 The Triangle of Care』――。昨年秋、英国の介護者支援チャリティ、ケアラーズ・トラストが英国看護協会との協働により刊行した認知症ケア・ガイドのタイトルである。表紙には交通標識のような三…

おうち炉端

訳あって、北の海産物が届いたので、 久しぶりに夫婦2人で「おうち炉端」を開催することになった。 我が家ではもう8年ほども前、 娘が養護学校の高等部を卒業した頃に 母親が長いヘビースモーカーの歴史になんとか終止符を打ったものだから、 そうだ、これ…

McMath事件での生命倫理学者らの発言にTruogらの批判

ずっと読もうと思って棚上げ状態だったのだけれど、いよいよ必要があって、 McMath事件での著名生命倫理学者らによる「脳死は科学的な死」発言に対する Truogらの批判を読んでみた。 (論考は、脳死の女性の妊娠継続を巡るMunoz事件も扱っていますが、 主要な…

5月にミネソタ州で「ステルス安楽死」めぐりカンファ

5月にミネソタでEPC他の共催で 安楽死と自殺幇助に関するカンファが開催されるようです。 タイトルは IMPOSED DEATH 2014:A Conference on Stealth Euthanasia (強いられた死 2014: ステルス安楽死に関するカンファレンス) スピーカーで私が知っているの…