2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

樽井康彦論文「知的障害者の脱施設化の論点に関する文献的研究」  後

(前のエントリーからの続きです) 2.歴史・社会・政治的背景との関連 欧米では 社会防衛思想に基づいた隔離収容主義で大側施設が作られ施設化が進んだが、 日本では 「親なき後」対策としての入所施設整備という社会的要請によって 70年代以降に入所施設…

樽井康彦論文「知的障害者の脱施設化の論点に関する文献的研究」  前

「知的障害者の脱施設化の論点に関する文献的研究」 樽井康彦 大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程 生活科学研究誌 Vol.7, (2008) 《人間福祉分野》 Ⅰ. 近年のわが国における脱施設化施策の動向 2006年から段階的に施行された障害者自立支援法で…

中山妙華論文「知的障害者福祉の歴史的変遷と課題」&「知的障害者の母親たちの「脱家族介助化」過程」

広島大学の研究者の方の論文2本。 いずれも、知的障害者の福祉施策と「自立」をめぐって母親に焦点を当てた研究で、 相模原の事件からこちらの「脱施設」論に私が抱いている2つの主要な疑問点を それぞれ実証的に指摘するもの。 簡単に言えば、 「脱施設」…

海さんの「お仕事探訪」   by 担当看護師Mさん

受け持ち支援職のYさんを運転手に雇い、 受け持ち看護師、Mの仕事ぶりを、こっそり見に行くことにしました。 あいつはきっと、奥の部屋(母注:特に重症の人たちがおられます)にいるはず、と 目ぼしをつけて、バレないように、運動場側の窓からのぞきこみま…

海のダイエット作戦

最近、ウチの娘はちょっと太り気味。 寝たきりとはいえ、 寝返りしたり、腕を振り足を蹴って踊ったり、 よくごそごそと動く人ではあったはずなのに、 そういえば、年齢のせいか(今年29歳になりました) いつのまにか、以前ほどに動かなくなってきた。 で…

2016年11月16日のメモ

カナダのナーシングホームで8人の高齢者を殺害した看護師、Elizabeth Wettlaufer。 https://www.thestar.com/news/canada/2016/10/29/from-caring-nurse-to-accused-serial-killer-who-is-elizabeth-wettlaufer.html http://www.bbc.com/news/world-us-cana…

ワシントンDCで、PAS合法化が決定

8日の大統領選の際の住民投票で合法化を決めたコロラド州に次いで、 ワシントンDCの議会が 再度の投票でも11対2と前回と同じ結果となり 最終的に医師による自殺幇助の合法化を決定しました。 Muriel E. Bowser市長は署名するかは言明しないものの 否決権の行…

【拡散希望】全国介護者支援団体連合会 第1回公開情報交換会 in おおさか

全国介護者支援団体連合会 第1回 公開情報交換会 in おおさか 「介護者支援のいまと未来」 介護者支援の はじまりからいま、そして未来へ これから介護者支援を学びたい人、すでに活動している人、 ケアラーズカフェに関心がある人… 介護者支援に関わる、全…

コロラド州の住民投票、PAS合法化を認める

大統領選と同時におこなわれた コロラド州の住民投票で、 PAS合法化が決定。 オレゴン、ワシントン、モンタナ、バーモント、カリフォルニアに次いで、6州目。 (ただしモンタナは 最高裁の判決によるもので、州法はありません) コロラドの法案はオレゴン州…

ケベックの安楽死者、想定の3倍に

ケベック州の安楽死法の公式な統計が出ている。 昨年12月10日の施行からこちら、262人が同法を利用して死亡。 1年間ではほぼ300人となる見通し。 保健大臣は以下のように語っている。 “I mentioned many times that I was expecting about 100,” Barrette sa…

最首悟先生のご講義へのコメント:親密な介護関係の中にはセックスがある

11月4日(金)に、慶応大学経済学部の大学院で(慶應義塾経済学会の報告会も兼ねて) 最首悟先生が「社会学としての『いのち論』」と題して講義をされ、 (企画、司会をされた高草木光一教授が依頼されたタイトルは 実は「社会科学としての『いのち論』」だ…

イヴ・ジネスト他『「ユマニチュード」という革命:なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか』

イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ著、本田美和子(監修) 『「ユマニチュード」という革命: なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか』(誠文堂新光社) ユマニチュードについては、 断片的に聞きかじるだけで詳細を知らないまま なんとなく「…

高草木光一編『思想としての「医学概論」- いま「いのち」とどう向き合うか』 4

前のエントリーの続きです。 最首氏の「いのち」あるいは「いのち論」については、 こちらの言葉で取りまとめるということは、とうていできないので、 ご自身の言葉で語られている箇所を抜いておく。 ……木村敏の言い方を借りれば、「生きている」ことと、「…

高草木光一編『思想としての「医学概論」- いま「いのち」とどう向き合うか』 3

ちょっと間が開きましたが、以下のエントリーの続きです。 高草木光一編『思想としての「医学概論」 ー いま「いのち」とどう向き合うか』 1(2016/10/20) 高草木光一編『思想としての「医学概論」 ー いま「いのち」とどう向き合うか』 2(2016/10/20) 訳あ…