インドの不妊手術キャンプで貧困層の女性が多数、死亡

ついさっき、以下の日本語ニュースを目にした。


とても悲しい。
いつかこういうことが起こると思っていた。

というか、たぶん、ずっと前から起こっていたんじゃないだろうか。

ただ、こんなふうに一箇所で一度に起こらなかったから、
これほど大きく取り上げられることがなかっただけで。


この問題は英語圏では数年前から問題視されており、
私は2012年の段階で、その背景事情と思われるニュースを拾っている。

その後、2013年3月3日にも
「インドの『不妊手術キャンプ』と家族計画ロンドン・サミット」と題した
エントリーを書いているので、それを以下に再掲。


【ここから再掲】 ---------------

このニュース、AFPが日本語で2月8日に流していたもの ↓
避妊手術した女性を次々野外に放置、インドの病院

この「不妊手術キャンプ」についてはBioEdgeも
動画入りで取り上げている。

州立病院のガイドラインでは1日25件までと定められているのに、
4人の医師が1日に106人の女性の不妊手術を行い、
(それも一人20分から30分という素早さで)

ベッドが30床しかないものだから、
終わるなり次々に屋外に運んでは道路上に放置したとして、
批判を浴びているもの。

さらに、任意・自発的な不妊手術だということになってはいるものの
実際には地方自治体が車や電化製品などの見返りで釣って誘導している、と。



しかし、これは実は
もうずいぶん前から言われてきていることでもある ↓

特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)


また、この前後には、こういうニュースもあった ↓
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)


実はBioEdgeのMichael Cookはニュースレターの先週号で、
上記12年7月の国際会議について触れている。

これがたいへん興味深いコメントなので、
以下に関連個所を抜いてみると、

You may recall that in July last year, Melinda Gates, one of the world's richest women, and the British government, organised a family planning summit in London. Rich nations and NGOs pledged US$2.6 billion to meet the unmet need for contraception in the developing world.
(中略:ここに上記ニュースの概要が入っている)
As far as I can remember, no one ever mentioned "sterilization camps" at the London summit which was applauded so enthusiastically in the world media. It would be interesting to see if some of this $2.6 billion is flowing into the pockets of the doctors who treated these women like animals in the hinterland of India.

去年7月に、世界で最も裕福な女性の一人、メリンダ・ゲイツと英国政府がロンドンで家族計画サミットを開催したことを記憶している人もいるだろう。途上国での避妊のニーズに応えるために、富裕な国々とNGOが26億USドルを提供することになった。
(中略)
私の記憶では、世界中のメディアが熱狂的に称賛したそのロンドン・サミットで、「不妊手術キャンプ」が話題になったことは一度もなかった。約束された26億ドルの中から、インドの奥地でこうした女性にまるで動物みたいな扱いをした医師のポケットに流れ込んでいるカネはないいのか、調べてみると面白いだろう。


Cookは、以下のような情報を知っているだろうか――?



【再掲終わり】 -----------------------



BioEdgeはこの後、同年6月にも
インドの「不妊手術キャンプ」の劣悪さを取り上げている。

今回は、人権団体が提訴した、という新情報。