英国の保護裁判所、「キラキラ生きられないなら死にたい」５０歳女性の人工透析拒否を認める
５０歳の女性、Cさんは
衝動的で自己中心的な意思決定を重ねて人生を送ってきた人なんだとか。
衝動的で自己中心的な意思決定を重ねて人生を送ってきた人なんだとか。
結婚しては夫の金を無思慮に使いまくり、金がなくなると別れることを繰り返して
４回の結婚と数多くの恋愛遍歴を経て、３人の娘と孫が一人いる。
４回の結婚と数多くの恋愛遍歴を経て、３人の娘と孫が一人いる。
節度のない酒の飲み方をし、娘たちの子育てには無関心で、
娘の一人によれば、Cさんにとって最も大事なのは「キラキラした」ライフスタイル。
「貧乏になるのも醜くなるのも年寄りになるのもイヤ」だと常々言っていたという。
娘の一人によれば、Cさんにとって最も大事なのは「キラキラした」ライフスタイル。
「貧乏になるのも醜くなるのも年寄りになるのもイヤ」だと常々言っていたという。
MacDonald判事は、
他者から見てどんなに理不尽な意思決定と見えようともMCAに基き、
本人に意思決定能力がある以上は、例えその結果が死に至る状況であっても、
治療を受ける受けないの意思決定は本人のものであり、
それは誰にも適用されるルールだとして、Cさんの透析拒否を認めた。
他者から見てどんなに理不尽な意思決定と見えようともMCAに基き、
本人に意思決定能力がある以上は、例えその結果が死に至る状況であっても、
治療を受ける受けないの意思決定は本人のものであり、
それは誰にも適用されるルールだとして、Cさんの透析拒否を認めた。
判決では、
The court being satisfied that, in accordance with the provisions of the Mental Capacity Act 2005, she has capacity to decide whether or not to accept treatment she is entitled to make her own decision on that question based on the things that are important to her, in keeping with her own personality and system of values and without conforming to society's expectation of what constitutes the 'normal' decision in this situation…
The right to refuse treatment extends to declining treatment that would, if administered, save the life of the patient,
This position reflects the value that society places on personal autonomy in matters of medical treatment and the very long established right of the patient to choose to accept or refuse medical treatment from his or her doctor.
“Where a patient refuses life-saving medical treatment the court is only entitled to intervene in circumstances where the court is satisfied that the patient does not have the mental capacity to decide whether or not to accept or refuse such treatment.” Intervention, he said, was not required in this case.
This position reflects the value that society places on personal autonomy in matters of medical treatment and the very long established right of the patient to choose to accept or refuse medical treatment from his or her doctor.
“Where a patient refuses life-saving medical treatment the court is only entitled to intervene in circumstances where the court is satisfied that the patient does not have the mental capacity to decide whether or not to accept or refuse such treatment.” Intervention, he said, was not required in this case.
もっとも、
本人に救命につながる治療を拒否する権利があるとの判断は、
医師らが今後もCさんに治療を受けるよう説得を続けることを妨げるものではない、とも。
本人に救命につながる治療を拒否する権利があるとの判断は、
医師らが今後もCさんに治療を受けるよう説得を続けることを妨げるものではない、とも。
Woman, 50, wins right to refuse life-saving treatment because her 'sparkle' has gone
The Independent, December 2, 2015
The Independent, December 2, 2015
これ、
判事が言っているように、その人がどういう生き方をしてきたかという「評価」が
自己決定能力のある人の意思決定を認めないことにつながってはいけないとは思うし、
確かに原則主義で行けばこうなると思うのだけど、
判事が言っているように、その人がどういう生き方をしてきたかという「評価」が
自己決定能力のある人の意思決定を認めないことにつながってはいけないとは思うし、
確かに原則主義で行けばこうなると思うのだけど、
MCAが作られた２００５年には
こういうケースを想定されていなくて、
こういうケースを想定されていなくて、
それはつまり、MCAに
その後の「死ぬ権利」議論によって、
英国社会に「QOLの低い生は生きるに値しない」価値観がここまで広く共有されていくことが
織り込まれてもいなかった、というところの問題でもあるんじゃないのかなぁ。
その後の「死ぬ権利」議論によって、
英国社会に「QOLの低い生は生きるに値しない」価値観がここまで広く共有されていくことが
織り込まれてもいなかった、というところの問題でもあるんじゃないのかなぁ。
【MCA関連エントリー】
英国MCA報告書 「結論と提言」(2014/4/2)
英国MCA報告書：医療のパターナリズムと福祉の責任回避“文化”で、法の精神が実践に浸透していない(2014/3/31)
意思決定能力法MCAの検証報告書（英国）(2014/6/2)
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