恋するウチの娘が「家に帰りたくない」と泣きやがった夜……

10月にこちらのエントリーでも書きましたが、
ここしばらくウチの娘は「支援職のHさんLOVE!」ブームで、
連絡ノートも「Hさんネタ」が多いこと。

夜、もう眠りこんでたのに
他の人の介助でHさんが部屋に入ってくるや、バチッと目を覚まして
せっかくのポジショニングも乗り越え、のけぞってHさんを呼びまくったとか、

他のスタッフの声かけなんぞ丸無視してHさんをひたすら呼んでいたとか。

で、先週末に迎えに行った際のこと。

ベッドでオムツ交換を済ませて
我が家のカーシート転じた車イスに乗せ、
外の寒気に備えて毛布でぐるぐる巻きにしてから、
「いざ帰らん」と居室から廊下に出たところで、
Hさんとばったり。

それまで家に帰れるのをひゃーひゃー喜んでいた海は、
「あ、そうだった、今夜はHさんが遅出だから、まだいるんだった……」と思い出したようで、
ふと、とまどいを見せた。

通りかかった看護師さんがそれを見逃さず、
「海さん、Hさんと園にいたいの?」

すると、海は
お、そういう案もアリか……? とばかりに考え込む。

そして、別の人からもまたも同じ質問をされると
なんと「は」と答えたから、ビックリ。

そういえば、あれは小学4年生の時だったか?
ミッキーマウスに似た実習生に初恋をしたこいつが、
金曜日の午後に迎えに来た母親が車椅子に乗せると、
「まだ帰りたくない。それよりも、あの人のところへ連れて行け」と、
他の子の食事介助をしているミッキーさんを指差したのは?

(ミッキーさんはその数年後に結婚し、ディズニーランドへ行ったと言って、
ディズニーのネームプレートに海の名前を入れて送ってくれたっけなぁ。
実習後にも何年か手紙を下さって、いい人だったなぁ)

ったく、またかよ、この子は……と少々ゲンナリしつつ、
「こいつ、Hさんがいるから帰りたくないとゴネとるんよー」と会う人ごとにギャグにしつつ、
(そのたびに「Hさんがいるから家に帰りたくないの?」と問われては海は「は」と答える……)
詰め所に寄って薬を受け取り、長い廊下を歩いて駐車場へ。

「電動回転カーシート転じて車イス」ごと車に乗せ、
我が家の車のドアががしゃーん……と大きな音を立てて閉まった瞬間、
ウチの娘は一瞬ショックを受けたような顔をして、
次の瞬間、うそだろ……な、泣き出すか、おい?

もしかして、ドアが閉まった瞬間に、
あーもー家に連れて帰られるぅぅHさんのいる園からHさんのいない家にぃぃぃ……とか
あんた実感して、それでショック受けたの? まさか?

「あんた、ほんまに園におりたかったん? Hさんがおるけん?」

「はー」と言いつつ、恋するウチの娘は悲しそうに泣く。

「でもHさんだって、あと2時間くらいで勤務が終わって帰るじゃん。おらんくなるよ。
また園に帰ってきたら会えるわいね。さ、家に帰ろ」

「えーん。えーん」

車が走り出しても、しばらく「えーん。えーん」と泣く。

さすがに5分ばかりで泣き止んでからはゲンキンなもので、
おかあさんといっしょ」CDに歌い踊っておりましたけど。

で、29日の夕方。

年末年始のお休みを、と迎えに行くと、
海の居室の入り口でHさんが他の人を車椅子から降ろしているところ……。

親が迎えにきたと見るや、
「あ、ボク、隠れときますね」

お帰りの支度をして詰め所に寄り、無事に園を出るまで、
どこかに潜んでいてくれたHさんのお陰で、
恋する我が娘はすなおに家に帰って来てくれて、
無事にののほんと親子で年末年始を過ごしております。

Hさんも皆さんもどうぞ良いお年を。