「在宅療養するお子さんとご家族のケア・サービスのためのアンケート調査結果」

2016・2017年度
文部科学省科学研究費補助金による調査研究事業
「在宅療養するお子さんとご家族のケア・サービスのためのアンケート調査結果」

研究代表者 
松澤明美 茨城キリスト教大学看護学部・小児看護領域 


2017年2月~4月に、
茨城県内の小児専門病院に継続して通院中(在宅療養指導管理料を算定している20歳未満の方)の
病気・障がいがあるお子さんの育児ケアを主として担う保護者にアンケートを送付。
104名から得た(回収率36.4%)結果を分析したもの。

5項目のうち、
親子それぞれの年齢、病気や障害など、対象者像を把握する最初の項目を除き、
4項目についての結論部分を以下に抜粋。


在宅療養しているお子さんとご家族の相談先

在宅療養を必要とするお子さんであっても、約3割の保護者はお子さんの病気・障がいに関する相談先がなく、また約6割の保護者は保護者および家族のことに関する相談先がないと回答しました。


在宅療養しているお子さんのケア・サービスの利用

在宅療養を必要とするお子さんのうち、約3割がサービスを利用しており、そのうちサービスの準備・手配・調整をする専門職がいる人は約4割でした。

短期入所等のレスパイとサービスは23人が利用したいと回答しましたが、実際に利用できているのは5人でした。

サービス利用の準備・手配・調整への満足度では4割の保護者が「あまり満足していない」「満足していない」と回答していました。

サービスに関する満足度では4割の保護者が「あまり満足していない」「満足していない」と回答していました。


在宅療養しているお子さんの保護者の健康

在宅療養しているお子さんの保護者の健康関連QOLは国民標準値と比較して精神的健康度が低く、中でも保護者が「50歳以上」、「医療的ケア」がある子どもを育てる場合、身体的健康度も低い状態でした。


在宅療養しているお子さんの保護者の生活

お子さんの保護者の生活時間では1割強が1日の平均睡眠時間が3~4時間であり、6割は自分のための時間は取れない状況でした。

保護者の就労ではフルタイムで就労している保護者は2割強でしたが、就労への希望では「とても就きたい」「まあまあ就きたい」をあわせて9割を越える保護者が就労を望んでいました。


なお、自由記述に書かれていた意見では、
とにかく「医療的ケアを必要とすると利用できるサービスが地元にない」という
悲鳴のような声が続発。

そのために親が働けない。経済的な不安がある。社会的に孤立してしまう。などなど。


(同時期に茨城県内の障害児相談支援事業所69施設に実施されたアンケートの結果も
冊子となっているのですが、このエントリーでは保護者アンケートのみで)