全身麻痺になった翌日に「自己決定」で人工呼吸器とり外して死亡(米)

米国インディアナ州のTim Bowersさん(32)は
11月2日に鹿のハンティングに出かけた際、木から落ちた。
医師らは首から下が麻痺して、おそらく生涯、人工呼吸器が必要となるだろうと診断。

看護師の姉を中心に家族から
本人の意思を確認するために鎮静をといてほしい、との要望があり、
医師がそのとおりにしたところ、

私たちが「こういう状態でいい?(Do you want this?)」と聞いたら、
彼は no と強く頭を振ってみせました。

人工呼吸器をはずせば話ができるが、
死ぬまでにどれだけかかるか分からない、
苦しくなったら呼吸器は戻さないでほしいか、と姉が問うと、
やはり no (戻さないでほしい)と首を振った。

医師が同じ質問をしても答えは変らなかったので、
3日日曜日に親戚75人が病院に集まり、
人工呼吸器がはずされた。

Brownさんはその後の時間を親戚と過ごし、
親戚が祈り歌を歌う中、5時間後に死亡。

インディアナポリスのCharles Warren Fairbands医療倫理センターのディレクター
Dr. Paul Heftは、

We give patients autonomy to make all kinds of decisions about themselves," he said. "We've recognized that it's important that patients have the right to self-determination.

患者には自分に関するありとあらゆる決定をする自律を与えます。
患者に自己決定の権利があるということが重要だと私たちは認識しています。





でも、それって、今の米国の医療現場では
医療サイドが「無益な治療」と考える医療の外の範囲でのみ、
患者に「自分に関するありとあらゆる決定」が認められるだけの
「自律」であり「自己決定の権利」なんだけど……。


これらの事件のことを思い出した ↓


【ベルギーでろう者の双子が目も見えなくなることに絶望し、揃って安楽死
ベルギーで、ろう者の双子(45歳)に安楽死(2013/1/14)


【18日追記】
友人に「うちでは大事なことはみんな
お父さんが決めることになってるの」という人がいる。

そう言った彼女は必ず、次のように付け加える。

「でね。何が大事なことかは、お母さん(つまりワタシ)が決めるの」。

一方では「無益な治療」を一方的に拒否する決定権を医療サイドに担保しながら
「患者には自分に関するあらゆることを決める決定権があります」と平然と述べる
医療倫理学者の発言って、それと同じことのように聞こえる。

「患者には自分の医療に関するあらゆることを決める権利があります。
あくまでも医療サイドが「無益」ではないと認める医療の範囲でね」