出雲大社

出雲大社へ行った。

スーパーまつかぜ1号で米子から出雲市駅へ。
あいにくの本降りの雨。

でも出雲市駅前からバスで大社へ向かううちに
空が明るんできて、少しずつ小降りとなり、
正門前のバス停で降りた時にはやんでいた。

出雲大社には何度も来たことがあるけれど、
いつも車で来て駐車場に停めて横手から参拝するのか、
こうして正面の長い参道を歩くのは本当に久しぶりのような気がする。

高校生の時に学校からの旅行できた時以来かもしれない。

そういえばあの時は、
境内で友達数人と大声で「ハトがいる、ハトが」とはしゃぎ回っていたら
「ほんとだー。ハトポッポがいるねー」と背後で声がして、

振り向いたら、そこに
ニコニコ顔の山本コウタローとその他2人(ウイークエンドの?)が歩いていて、
ぶったまげて一同で絶句したことがあったなぁ。

そんな、しょーもない記憶をたどりつつ、
背の高い松の葉から時々すべり落ちる雨粒攻撃を受けながら、
長い参道を歩く。

思ったよりも人が少なく、
雨上りの参道には清浄な気が満ちて、すがすがしい。

さすがに遷宮の年とあって
拝殿や本殿の周りには団体客がいつくもあって人が多いけれど、
誰も彼もがひんやりしっとりと清潔な空気に包まれている。

参拝を済ませて、また参道を戻っていくと、
洗われてゆくなぁ……という感じがした。

実は前の日に、ちょっとがんばった。
がんばったけど、実は、ちょっと残念なところもあった。

洗われてゆくなぁ、と感じた時に、初めて、
自分の弱さとかみっともなさとか、そういうのに、
わたし、そっかぁ、ちょっと傷ついていたんだなぁ……と、気づいた。

境内の清浄の気に洗ってもらったのは
その、ちっこい傷口。

それから、
そんなちっこい傷口に平気なフリをしつつ実はぐずぐずと拘泥している、
そこのところも、まだまだちっこいままの自分。

濡れそぼった参道をじゃりじゃり踏んで戻りながら
洗われてゆくちっこい自分に「いいじゃない」と心の中で声をかけてやる。

いいじゃない。
一生懸命の思いをこめて話したんだから。

そして、その思いはちゃんと届いたし、
受け止めてもらえたんだから。

だから、いいんだよ。それで。

参道が終わるあたりで、
向こうから見覚えのある老夫婦が歩いてきた。

駅前でバスに乗る時に順番を譲り合って、
ほんの少しだけ言葉を交わしたご夫婦。

若い人たちが降りるのに釣られて
ずいぶん手前でバスを降りられていた。

奥さんの方が私に気づいて「ほら」とだんなさんに知らせているので、
黙って会釈したら、2人から笑顔が返ってきた。

「お参りは終わられましたか?」
「は~い」

ただそれだけの言葉を行きずりの人と交わして
束の間ほのぼのとする。

一期一会。

そんな言葉が頭に浮かぶ。

そういえば、
昨日がんばって語ったのも、
そうだった、あれも一期一会の話だったなぁ――。