今日のボケ: てんぷら

大学生になって京都で一人暮らしを始め、
慣れない料理にアワアワしていた頃のこと。

兄がどういう用事だったのか
京都にやってくることになった。

下宿に寄るというので、
てんぷらでもご馳走してあげようと、妹としては張り切った。

買ったばかりの料理の本を開き
材料の欄に書いてあるものをメモして、買い物にゆく。

なにしろ、
てんぷらを作るのは初めてなんだけれど、

しかし、いくらなんでも
てんぷらの作り方くらいは私だって知っているもんね。

……と、18歳の spitzibara は思ったんである。

で、兄が到着した時には
揚げたてのてんぷらが大皿にてんこ盛りよ。

うふふ。どーよ。
天つゆだって手作りだもんね。

兄はそれなりに感激した。
「ほー。これは旨そうだ」

さっそくに箸を伸ばした兄が一つ摘み、
天つゆに潜らせて、口へ放り込む。

がりがり。え?

「おま、これ……」と、
絶句した兄が口から吐き出したのは、

1センチ幅の角切りダイコン。

ありゃ、揚がってなかった?
衣はいい色に揚がってたんだけどねぇ。

いや、そういう問題じゃないだろ。おま。
なんでダイコンを切って揚げるんだよ。

だって料理の本の材料のところにダイコンって……あ。






昨夜、海といっしょにテレビを見ていたら
「一人農業」の人がダイコンのてんぷらを作って旨い旨いと言って食べていたので、
なんだ、ダイコンのてんぷらだってちゃんとあるじゃないよ……と思い出したボケ。

でも、まー、この話は spitzibaraボケの典型パターンの1。