老夫婦がネットで毒物を入手し心中、検死官が「2人は尊厳のある死に方を選んだ」(英)

某MLに投稿したので、
それでこっちにもエントリーにしたつもりになっていた英国のニュース。

余裕がないので、ML投稿のままを以下に。


こういう事件はもう大きく騒がれることすらなくなりつつあるみたいですが、
英国で69歳のがんの夫と不調は諸々あるけれどそこそこ健康な72歳の妻とが
子どもたちとじっくりお別れをした後に一緒に自殺した、という事件が
報じられているのですが、

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2553735/We-spent-two-days-saying-goo
dbye-got-chance-say-wanted-say-Son-suicide-pact-couple-tells-kissed-goodbye-
gave-blessing.html?ITO=1490&ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490

なんか、やっぱりこれはヘンなんじゃないかと思う点がいくつかあって、

息子がメディアに対して二人がどういう様子だったとか、
事前にどういう話をしたとか、どういう計画で進めたとか、
みんなでどんなふうにお別れをしたこと、などを
べらべらと語っているんです。

家族の死って
もっとプライベートなんじゃないかと思うんですけど、
でも、まぁ、これは私の個人的な感じ方に過ぎないかもしれません。

亡くなった夫婦は「死ぬ権利」の市民活動かだったみたいなので
そういうメッセージ性のある死に方を望んだのかもしれないし。

でも「死の自己決定権」議論の周辺では、どこか、こんなふうに
自らの意思によって自分の死期と死に方を決めることは美しいこと、
さっきのベルギーの医師の発言のように
「尊厳のない姿をさらさずに死ぬこと」や
「『人間じゃなくなった』(どういう状態のことじゃ?)まま
生きる」ことを拒否することへの賞賛、のようなものが
ある種の空気とか文化としてかもし出されているような。

そういう空気の中で、
息子が記事に笑顔の写真を掲載させ、
夫婦心中した親のことをぺらぺらしゃべってみせる図というのが
実現されてしまっている、読む人もそれを疑問に思わない
そんな社会の空気ができてしまっている、のかな、と。

それって、すごく気味の悪いことなんじゃないか、と。

もう二つの疑問のうちの1つは検死官が
the couple had made a careful decision to end their lives in a dignified
way.
と発言していること。

これはおかしくないでしょうか。
検死官の役割は死因の特定だったり、犯罪性の有無の確認だとすれば、
まったく筋違いの発言をしているとしか思えないし、
Mail紙がこんな発言を引用すること自体、どうなんだ、と。

また夫婦はディグニタスで使っているのと同じ薬を
インターネットで購入していたといいます。

自殺幇助は英国では依然として懲役14年以下の犯罪行為のはず。
どうして入手経路が問題にならないのか。捜査が始まらないのか。