今日のボケ: 消化器

今日は、spitzibaraのボケではなく、
spitzibaraが目撃した他人さまの、なんともシュールなボケ――。


いつのまにか町の空き地でよく目にするようになった、
使えなくなった家電製品を無料で(5円くれるところもあるとか)お引取りくださる、
ちょっといかがわしい感じの露天のおショーバイ。

空き地に古い冷蔵庫とかテレビや電子レンジなんかが
ごたごたに積み重ねてあって、

ベニヤ板に営業(?)時間とかが
大きく乱暴に殴り書きされている。

時間外に勝手に置いていく人もいるらしくて、
「無断で捨てていく人は警察に通報します」とか書かれていることもある。

まさか本当に「通報」するとは思えないけど、
まぁ、やっぱり合法的にやっておられるわけなんだよなぁ、とか
ここで回収した家電製品は一体どのようなカラクリでゼニになるのだろう、
などという、解けるはずのない謎がチラッと頭に浮かんだりもする。

で、先週のある日、

そういうおショーバイのそばを通りかかった折に
まだ“開店”前で空き地入り口にはロープが張られていた。

そのロープには大きな板切れが取り付けられていて、
そこに書かれていたのは、

「ここに消化器を捨てないでください」

げっ?

一気に頭の中が「わたしを離さないで」的な近未来にワープして、

雑多に家電が山と積まれている、
その無人の空き地の入り口の、
汚いロープが張ってある下のあたりの地面に、
人間の胃袋とか、腸とかが「捨ててある」図を
思い描いてしまった。

一応、使えると思って誰かから摘出してみたんだけど、
どうも使えないみたいだから……といって、
古くなって使えない家電といっしょくたにして
夜中の間にここに捨てていかないでください。
(ウチでは生ものは扱ってないんですから)

――という意味だと、一瞬、受け取ってしまったのね。

そんなわきゃ、ないんだけど。

「消火器」を「消化器」と書き間違えたボケなんだと
気づくのに40秒ほどかかったものだから、

その40秒が見せた、
近未来のディストピア――。

それなりに生々しくて、怖かった。