Nicklinson訴訟で、英国最高裁「PAS禁止はプライバシー権と相反」 ・フランスでは安楽死実行の医師に無罪判決・もう一つLambert事件

「死ぬ権利」をめぐって、
いきなり大きなニュースの連発。

① まず、英国のNicklinson・Paul Lamb訴訟で最高裁判決。



最高裁の判事9人のうち5人が
医師による自殺幇助の禁止はプライベートな生活への権利と両立しない、と結論。
政治家に対して、欧州人権条約(のことだと思うんですけど)に沿った法改正を示唆。

【28日追記】
この記事はその後、大幅に修正されており、
「9人のうち5人」が「マジョリティ」に変っている。
こちらの記事では「7人のうち4人」となっている。
http://www.thisiswiltshire.co.uk/NEWs/11305107.I_am_proud_we_stuck_it_out__says_Melksham_right_to_die_campaigner/


土曜日のBioEdgeは以下のように書いている。

Lord Neuberger, president of the court, stated in his judgement,

“On the basis of the arguments and evidence which have been put before the Court, there would have been too many uncertainties to justify our making a declaration of incompatibility.”

Nevertheless, Neuberger warned that if parliament failed to consider the matter in the near future, there was “real prospect” of a successful future legal challenge.


判決による合法化を求めた原告の要求は退けられたという一面を捉えるか、
議会に対して、法改正の検討を示唆したという面を捉えるか、によって
同じニュースでも書き方一つで印象はがらりと変る、という典型例かも。
【追記終わり】


② フランスで終末期の患者7人に致死薬を注射して死なせた
Nicolas Bonnenmaison医師に無罪判決。

ちなみにフランス大統領は選挙の公約に安楽死合法化を挙げていた。



③ 火曜日、6年前の交通事故以前に意思を明示していたことを理由に、
昏睡状態の患者Vincent Lambertさんからの水分と栄養の引き上げを
フランスのtop administrative 裁判所が認めたが
その数時間後にヨーロッパ人権裁判所が覆し、
同裁判所の吟味の間、治療を続行するようフランスに求めた。

Lambertさんの生命維持中止については
家族の意見が割れており、

両親の弁護士はテレビの取材に対して
「病気ではないし、終末期でもないし、苦しんでいるわけでもありません。
我々の見方からすれば、彼の栄養と水分を止める理由は何もありません」


French doctor acquitted for helping 7 patients die
The Kansas City Star, June 25, 2014






【29日追記】
28日のBioEdgeがフランスの2つのニュースを取り上げている。
それによるとBonnenmaison医師が使った薬物の1つは禁止薬物だった。

それからLambertさんは5年前から「最小意識状態」だったとされる。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/11034