英国の自殺幇助起訴ガイドライン、緩和


末尾にリンクした今日のTelegraph の記事は
Nicklinson訴訟で出来たガイドラインだとしていますが、
それは誤情報で、Purdy訴訟の最高裁判決が命じたものです。


なお、ガイドラインの内容は具体的には、
自殺幇助の証拠がそろっている事件で
起訴に向けてカウントされるファクターと、
不起訴に向けてカウントされるファクターとを列挙したもの。

で、このガイドラインについては、私は一貫して
「主として近親者の自殺幇助を事実上合法化したに等しいもの」という解釈をしてきた。

それは、上記の13年2月4日の記事が触れているように、
特に医療専門職について触れたファクターが盛り込まれていることから
医療専門職への対応は厳しい判断となるとされてきたため。

実際のところは今ひとつ明確でないところがあって、
例えば何度も自分の患者をスイスに連れて行って死なせてきた英国のDr. DeathことIrwin医師
あえてガイドラインの不明瞭にチャレンジするような事件を起こしては
そのたびに捜査を受けて、なんだかよく分からないままに不起訴になったりしている。

で、今回、
2010年にガイドラインを作ったStarmer氏の後任の公訴局長(DPP)、Alison Saunders氏が、
ついにガイドラインの文言を改訂。

これまで
”acting in his or her capacity”(医師としての立場で自殺を幇助する)ことは
起訴の方にカウントされるファクターとして挙げられてきたが、

今回の改訂で、
”in his or her care” (自分が直接担当している患者である)に変更(追加?)。

SaundersDPPの説明では
自殺幇助の容疑者と死んだ人との間に直接の「治療関係」がなければ
単に医師の資格において幇助したというだけで起訴のリスクが上がる、ということはなくなる、と。

Irwin医師は
「これなら、退職後に幇助しようという医師は多くなるだろう」と。

また合法化反対の立場のPeter Saunders医師は
文言をいじって合法化している、これでは弱者への保護がおろそかになる、と懸念。



Falconer議員提出の合法化法案が2度目の審議に入る直前の、
DPPによる、この動き――。


【追記】
これから報道が続きそうなので、拾った記事をいくつか以下に。
http://www.theguardian.com/society/2014/oct/17/assisted-dying-suicide-guidelines-clarified-professionals