死が単なる「ライフスタイルの選択」と化した国、オランダ

オランダ、アムステルダム近郊に住んでいたAndre Verhoevenさんは
65歳で中学校の教師を退職したら、妻と世界旅行をしようと計画していたが、
急性白血病と診断されて、首から下が麻痺した。

治療法はないとも告げられ、64歳でケアホームに入った。

カップを持ち上げて水を飲むことすらできず、
看護師を呼ばなければならない。

生涯このまま生きていかなければならないことに絶望した彼は、
2ヵ月後に安楽死の決意を家族に告げた。

安楽死を認められた彼は家に帰り、
2013年1月、家族に囲まれ、GPの注射で安楽死した。


オランダでは今では33人に1人が安楽死によって死ぬ

2006年には1923件だったのが、2013年には5000件に増加した。
2014年には6000件となる可能性があるといわれる。

(この後、記事では英国の自殺幇助合法化をめぐる議論の現状を概観し、
オランダで安楽死を推進してきたTheo Boerがすべり坂を警告したことに触れて、
オランダの教訓から学べ、と呼びかけたうえで、話を再びオランダで起こっている諸々へと戻す)

そこで触れられている話題は、以下。
(これまで当ブログで拾っていないものをゴチックにしました)

・GPに安楽死への協力を拒絶された患者が頼ることのできる
安楽死専門「終末期クリニック」。


・70歳以上の高齢者なら健康に問題がない人でも
 もう生きていたくないというなら安楽死を認めよう、との主張。


・親の同意によって、
苦痛があるか、または生きても苦しむだけだと思われる子どもは安楽死させられている。

オランダ医師会の推計では、年間650人の新生児が安楽死させられている。

子どもの安楽死を推進しているEduard Verhagen医師は
子どもが苦しむのを見ているのが親にとって辛いという理由でもできるという。


・身体的には健康なうつ病患者への安楽死も行われている。

人格障害摂食障害のある54歳の女性が「終末期クリニック」を利用して安楽死した。

 「死ぬ権利」によって死んだ人の中に精神科の患者が含まれていることは、
保健相も認めている。

「重症の精神障害」のある人の安楽死は2011年に13人、2012年に14人と推移して、
2013年には42人に跳ね上がった。

昨年3月、Gaby Olthuisさん(47)は一日中治まらない耳鳴りを苦に
 「終末期クリニック」でもらった致死薬を自宅で飲んで自殺。

 Gabyさんは離婚しており、13歳と15歳の子どもがいる。

 Gabyさんの母親の談。
「Gabyは死ぬつもりだということを子どもたちに伝えました。
 苦しくて、治療法もなかったんです。

 医師が安楽死に同意してくれてから、みんなにお別れを言って葬儀の段取りをして、
 1ヵ月後に死にました。もちろん子どもたちは母親を恋しがっていますが、
 2人とも母親の決断については理解しています」



まさに、この記事のタイトルの通り、
死が単なる「ライフスタイルの選択」の問題と化した国――。

それにしても、いつものことだけど、この記事でも、
安楽死」と「自殺幇助」と「慈悲殺」が何の区別もなく、デタラメに使われているのが癇に障る。