『患者から「早く死なせてほしい」と言われたらどうしますか?』著者、新城拓也医師は、なぜ緩和ケアの医師になったのか

6月6日のエントリーで紹介した
『患者から「早く死なせてほしい」と言われたらどうしますか? (本当に聞きたかった緩和ケアの講義)』(金原出版)の著者、
新城拓也先生が、圧倒的な内容のブログ記事を書いておられます。

私は上記の本を読ませてもらった時、
新城先生が次にお書きになるものはこういうものだろうと確信を持って予感しました。

でも、それをこんなに早くに読ませてもらえるとは思っていませんでした。

また、これほど一気に全てを、これほどの深みで
書いてしまわれるとも予測できていませんでした。

緩和ケア医としての新城先生の器の大きさは今回のご著書から分かりますが、
その背景には、先生が先天疾患のある子どもの親でもある、ということが
深く関わっているのです。

先生はこのブログ記事で、次のように書いておられます。

先天疾患を抱えた子供の育児を通じて、私の仕事の仕方は随分と変わっていきました。「治らない病気がある」ことの医療の限界、そして、診断・治療を柱とした医学では患者を支えきれないことに、意識的になりました。また、ケアの重要性、特に身体のケアの仕方を医療者が患者、家族に教えていくこと、患者の生活を支援することとはどういうことなのかを追求するようになりました。また「治らない病気になった」患者にどう向き合い、彼らにどう説明するのか模索するようになりました。


そして、

小児科の医師に、これからどう育てたら良いのか尋ねましたが、彼らだって育てた経験もないから何も答えられないのです。医師の役割の限界も知りました。その時、医師からある家族を紹介されました。……子供に対する毎日の身体のケア、咀嚼や鼻閉の対処を教えてもらいました。医師よりもずっと頼りになる存在でした。


彼が生きていく上で、どう自分なりに受容するのか、そして落胆せず生きていく希望を与えるにはどうしたらよいのかを考え続けていました。「治らない病気になった」と彼にどう伝えたら良いのかを自問自答したのです。この私の問いに答えてくれる医師は誰もおらず、教科書ももちろんありませんでした。


私の子供にとっても、多くの患者にとっても、医療者の視点とのずれ、病院の中での生活の貧しさを諦めながら、医療者に自らを委ねなくては生きていけないというのが現実です。


妻と共に子供のケアを続け、そして成長する子供のお陰で、私は謙虚になり、そして人生をかけて取り組む価値のある仕事を見つけることができたのです。緩和ケアの医師として関わる患者が、よりよい状態になっていくことと、私が親として関わる子供の健やかな成長は、私の中ではつながっています。


多くの障害や難病や慢性疾患のある子どもの親たちの思いです。
それが、医師でもある父親の言葉として飾り気なく、ありのままに書かれています。

私は後半、ずっと嗚咽しながら読みました。

私のブログにきてくださる方に、ぜひぜひ読んでいただきたい、
(これはもう何度でも力説したい!)「MUST READ 記事」なのです ↓

なぜ緩和ケアの医師になったのか~Care for the carers~
Dr. Takuyaの心の映像(image)ブログ
2105年6月25日



ものすごい偶然なのですが、
実は昨夜、某MLで教えてくださる方があって、
新城先生と哲学者の苫野一徳氏による対談・全6回シリーズを
一気読みしたところでした。

これも、チョーお勧めです。