Martin訴訟も、敗訴 (英)

故Nicklinsonさんの未亡人とLamb氏の
欧州人権裁判所への訴えは失敗に終わったと報道されたばかりですが、

生前のNicklinsonさんと一緒に訴訟を闘っていたMartinさんの
その後の訴訟に関する続報。

Martinさんについては、
こちらの13年8月1日のエントリーでは以下のように書いています。

かねてNicklinson氏と一緒に裁判を起こしていた四肢まひの男性 Martinの訴訟では
法にはさらなる明確化が必要との判断が示された。

British court dismisses landmark right-to die appeal
Reuters, July 31, 2013

UK court rules against euthanasia but says more clarity needed on prosecuting assisted suicide
Brandon Sun, July 31, 2013


【8月2日追記】
Martin訴訟では、
3人の裁判官のうち2人がDPPに対して、さらなる法の明確化を求めたのに対して、
主任判事はそれに反対して、DPPに法改正に等しい権限を与えるべきではない、と。

既に2010年にPurdy訴訟での最高裁の判断を受けて
自殺ほう助の起訴ガイドラインを出しているDPPのStarmer氏は、
この判決に即座に、英国公訴局長としては先に最高裁の判断をいただきたい、と反論。
(ちなみにStarmer氏はこの秋でDPPを辞任予定。それなりに筋の通った正論を説く人だったけど)

四肢マヒのMartinさんは餓死を試みるもかなわず、
残された手段はスイスのディグニタスへ行くことのみだが
看護婦の妻は自殺ほう助に当たる行為をしたくないと言っている。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2382255/Judges-right-die-guidance-nurse-helps-stroke-victim-end-life-prosecuted.html


以下の記事によると、今回、Martinさんの訴えは
医師に自殺ほう助を禁じたGMC(医事委員会)のガイドライン
自殺したい人たちへの幇助を不当に阻んでいる、というもの。

それに対して、判決はGMCのガイドラインは法にかなっている、と。




ちょっと気になるのは、
Starmer前DPPの後任が昨年、
これまで医療職には厳しい要件を置いてきた2010年の起訴ガイドライン
当該患者との治療関係がある場合にのみ起訴ファクターとしてカウントする方向に
緩和したという話があったので、

そこらあたりの、DPPのガイドライン緩和と
BMCのガイドラインでの自殺ほう助の禁止の関係がちょっと気になる。