呼ぶ

「昔語りシリーズ」の看護師さんは、海の担当さん。

6歳で入園した時から海を知ってくださっている
数少ないスタッフの一人。

たいていは廊下の奥まった詰め所の向いにある、
重度の人たちのお部屋で働いておられることが多いのだけれど、

海は別の部屋や廊下にいる時に、この人の声が聞こえると、
「お?」という顔になり、次いでニヤニヤしながら耳をそばだてる。

声が近づいてこないと、大声で呼ぶ。

それは、親も何度も目撃しているシーン。



10月1日

「おう!!」

見えるところで返事をするまで
私のことを呼び続けてくれる海ちゃん。

手を高くあげ、私も海ちゃんに見えるよう返事。

そうすると海ちゃんも上げていた腕をもっと高く、
左手も右手も両方とも高く。

私も両手を高々とあげ、海ちゃんにアピール。

「おう おう」

廊下のあっちとこっちでやりとりする2人の間で、

Kさん(支援職。この春まで海の担当だった)が
「うるさいねぇ。。。」



でも、
担当看護師さんは「親に近い年齢」の男性であって、「若い男性」ではない。

で、今の支援職の担当さん(若い女性)が書いて下さったノートによれば、


10月30日

最近、海さんは Hさん LOVE です。
(Hさんは支援職の若い男性)

もう大好きすぎて涙ぐむほどです。

ご飯を食べるより Hさんです。

本当にすごいんです。

Hさんを見かけるとTVほったらかしで
Hさんを必死に呼びます。

私は詳しく教えてもらえないのですが、どうやら
歌を歌ってくれるようです。

もう愛がすごすぎて必死に呼びすぎて涙がポロリ……。

「必死なアピールはやりすぎ注意よ!」と職員から、
女の極意を教えてもらってました。

実習生さんより Hさんが良いそうです。
(海は有名な実習生好き)

私…さみしい……(笑)


けど……
ついこの前まで「泣くほど」好きだったIくんは……?