ケベックの障害者、VSED後に安楽死の要件を満たしていると認定

VSED(自発的飲食停止)については、
単に合法化されていない場所や合法化されていても対象要件を満たさない人の
安楽死や医師幇助自殺(PAS)の代替手段とされるだけでなく、

VSED希望者への緩和ケアという名目で、
鎮静による安楽死への煙幕・アリバイとなり得るのでは、という懸念を
かねてから抱いてきましたが(例えば文末の15年9月28日のエントリー)、

さらに思いがけないVSEDの利用方法が出てきています。

C&Cとつながりの深い生命倫理学者のThaddeus Popeが
「MIDへの架け橋としてのVSED」というエントリーで報告しているのは、
ケベックでMedical Ain in Dyingという名目の安楽死の要件を満たすための手段として
VSEDが行われた事例。

もともとはケベック州法の安楽死要件を満たしていなかった
障害のある男性、Jean Braultさん(61)は、
53日間の断食と8日間の水分拒否の後に、その衰弱状態によって
医師に州法の要件を満たしていると認められ、安楽死

つまり、VSEDで死に至ることを目的とするのではなく、
VSEDによって合法的安楽死の対象者となることができる、と。

VSED : Bridge to MAID
Medical Futility Blog, April 25, 2016



このケベックの事例について、
安楽死反対論者の Wesley Smithが
安楽死『治療』で障害者が医師の『援助』により餓死させられている」と批判している。




誰でもできるVSEDで衰弱することによって、
要件を満たしたと認定されるのであれば、
法律の安楽死要件そのものが意味を成さないことにならないでしょうか?