英国で年間4万人以上の患者が本人も家族も知らないうちにDNR指定にされている

英国内科医学会が死に瀕している患者9000人について公式の調査を行ったところ、
5家族に1家族の割合で、患者のDNR(蘇生不要)指定を知らされていないことが
明らかになった。

年間4万人の患者に、家族の知らないままDNR指定が行われていることになる。

また、16%で
DNR指定の際の患者との会話が記録されていなかったり、
なぜ記録がないかの説明が無かった。

調査は、
終末期の患者からの機械的な栄養と水分の停止のツールと化して
2014年にリバプール・ケア・パスウェイが廃止されたのを受けて、
その後の終末期医療の建て直しの一環として行われたもの。

調査の責任者で、最近出た終末期医療のガイドラインの著者でもある
Sam Ahmedzai教授は、

DNR指定を決めたのに、患者(意識があって会話可能であれば)または家族と
話をしないというのは許しがたい、

医師自身が死に瀕してそうして欲しいと望むなら、
患者にも同じリスペクトを示すべき、

医師がその状況と直面したくないものだから
死が近づいている生物学的兆候があることを、
知らされている患者が少なすぎる、と。

英国看護協会からも終末期ケアのあり方に懸念の声があがっており、

同協会の終末期ケアのリーダー看護師 Amanda Cheesleyさんは、

仕事や業務をし、決まった様式に記入し、よいケアプランを実行することは大事だが、
そればかりを問題にするのではなく、常識や直感を使うことも必要だし、

苦しんでいる患者や、不安から答えにくい質問をしてくる患者からは
看護師は背を向けてしまっているが、患者をそうやって無視したのでは、
あなたのことなどどうでもいいと言っているようなもので、
個人的には犯罪行為だと思う、と。

それでもNHSのスポークスマンは
このたびの調査では終末期医療の改善も見られる、と。



2014年にLCPが廃止される根拠となった調査報告書について
シノドスに書いた記事がこちら ↓
「どうせ高齢者」意識が終末期ケアにもたらすもの――英国のLCP調査報告書を読む
シノドス、2014.01.10

さらに詳細な報告書の内容はこちらから3つのエントリーに ↓
リバプール・ケア・パスウェイに関する調査報告書(英)1(2013/12/3)

その他、リバプール・ケア・パスウェイ(LCP)の機械的適用問題については ↓