子ども時代に性的虐待に遭った女性がPTSDを理由に安楽死 (オランダ)

匿名の20代の女性。

15年前の性的虐待からPTSDその他を発症。

拒食症、慢性のウツ状態、自殺念慮を気分変動、自傷、幻覚、強迫症があり、
身体的にもほとんど寝たきり状態だった。

2人の医師がこれらの症状について
回復の見込みも希望もなく、不治だと判断。

患者は耐えがたい苦痛を感じているとして
安楽死が認められ、去年、実施された。

精神症状は重くとも、
大ウツなど思考に影響するほどの気分障害は存在しないとして
安楽死を意思決定する能力はあると判断されたもの。

ただ、Mailの記事には、
死の2年前にセカンドオピニオンを勧められて、
集中的なトラウマ・セラピーを受けたところ一時的には症状が改善した、との記述も。

その後の展開は、Mail紙では以下のように書かれている。

Treatment was abandoned last year after independent consultants were called in and said the case was hopeless.

女性の意思決定能力を認定したのも、
どうやら、この「中立の立場のコンサルタント(医師 複数形)」らしいので、
このあたりの事情がはっきりしないところが気になるんだけれど、

長年PAS合法化議論が続く英国の議員からは、
虐待の被害者が死によって罰せられるようなものではないか、と批判。




この報道を受けてイェール大学の心理学者、Joan Cook准教授が
PTSD治療の現状を丁寧に説明しつつ、
確かに治療も回復も困難ではあるが様々な治療法が試みられて効果も出ており、
決して不可能ということはない、と批判。

Providers should acquire evidence-based knowledge, skills and attitudes to engage in competent and caring practice with traumatized individuals. Providers need to understand and utilize evidence-informed assessments and psychosocial interventions for PTSD and trauma-related disorders. No provider anywhere should ever tell a trauma survivor that their condition is incurable.

医療提供者はトラウマを受けた人々に有効で思いやりに満ちた臨床を行えるよう、エビデンスに基づいた知識、スキル、姿勢を身につけるべきである。

十分なエビデンスに基づいたアセスメントについても、PTSDなどトラウマに関係する問題への心理社会的介入についても、理解し使いこなせる必要がある。

どこの医療提供者であろうと、トラウマのサバイバーに向かってあなたの症状は不治だと告げるようなことは絶対にあってはならない。