8割の医療職が中等度以上のALS患者で”AID”を支持(カナダ)

Neurology誌の最新号に掲載された論文で、
医療職の8割が中等度から末期のALSでは“AID”の対象とすべきだと考える一方、
自ら進んで実施したいと考えているのは一部に過ぎないとする
調査結果が報告されている。

6月6日のAid in Dying 合法化期限を前に、
Sunnybrook Health Sciences CenterのLorne Zinman医師らが
カナダのALS専門機関に調査し、
231人の専門医と関連専門職(看護師とSW)から回答を得た。

80%が重症から中等度のALS患者ではMADを受けられるべきだと考えているが、
患者が自分で飲む致死薬の処方箋を書いても良いと考えているのは、
中等度のALSで26%。重症で34%だった。

自分で飲み込めなくなった終末期のALS患者には
致死薬を注射することに同意としたのは3分の1以下。

ほとんどの回答者が、
できれば、やってもいいと言う第3者の医師に紹介したいと考えている。

初期段階でもMADの対象とすべきと考えていたのは
医師の9%、専門職では15%だった。

どの段階であってもAIDを認めるべきではないとする医師は8%だった。

多くの医療機関が合法化に向けた準備はできていない、
実施以前にガイドラインと研修が必要と考えている。

カナダでALSと診断される人は年間約250人。
ALSを患いつつ暮らしている人は3000人ほどで、
トロント病院のクリニックでは毎週2人から3人が亡くなる。

Zinman医師によると、
最終段階では苦しむため、経管チューブを抜いて栄養と水分を停止する人が多い。

"It's awful because some patients have done that and their loved ones watch them wither away. And it's a horrible way to die.

そういうことをする患者さんもありますが、家族にすれば愛する人が弱っていくのを見ていなければならない。ひどい死に方です。


また、スイスやオランダなど、すでに合法化されている国へ行って死ぬ人もいる。

ALSの進行は人さまざまで、多くは長くは生きられないが、
診断された人のうち、10~15%が平均を超えて生きる。

Zinman医師には、トラウマになったケースがあると言う。

診断されても手が不自由になった他、特に大きな症状が出なかった
トロントの60代の弁護士の男性が自殺を希望したため、

呼吸に問題はなく、ゆっくり進行するならあと5年は生きられるかもしれない、と
再考を勧めたにもかかわらず、その翌週にスイスへ行って自殺した。

ALSと診断されたばかりの初期段階だった。

“It's coming next month, so what are we going to do? The majority of doctors do not want to euthanize their patients, and I think that makes sense," he said, but suggested that means some patients who want assisted death would be left to find a willing doctor on their own.

"Where do we send these patients? Who provides the prescription?" asked Zinman. "How many are going to access it? Is it a small number or is it an incredibly large number?

"What kind of Pandora's box are we opening here?"



この調査をしたのが、
ラスーリ訴訟など無益な治療論の最先端のSunnyBrook病院の系列の病院? と思われること、

Zinman医師のVSEDへの言及の2点が気になる。

VSEDについては、
例えば、C&Cなどが、
安楽死もPASも合法化されていないところの人や、
合法化されていても対象にならない人に対して
苦しまず、ゆっくり家族とお別れをする時間も持てる「良い死に方」として
推奨している一方で、

患者が「こんなひどい死に方」をするしかないのは、
安楽死や自殺幇助が合法化されていないからだ、
だから、こんなひどい死に方をせずに済むためにも合法化すべき、という文脈では
同じく合法化推進の立場によって、一転して「ひどい死に方」となる。