C&Cの新たな広告塔は、VSEDで自殺した夫を持つラジオ番組の著名ホスト



ブリタニー・メイナードさんの死後も
遺族がメディアに頻繁に露出してはC&Cに協力しておられますが、

C&Cがメイナードさんとはまた別の話題性で繰り出してきたのが
NPRのトークショーの人気ホストのDiane Rehmさん(78)。

しかも今度はどうやらVSED(自発的飲食停止)がらみ。

ダイアンさんと夫のジョンさんは、
その時が来たらお互いに手を貸そうと自殺幇助の約束を交わしていたという。

昨年ジョンさんのパーキンソン病が悪化して、手を使えなくなり、
食事も入浴もトイレも不自由になった。

メリーランド州ではPASが認められないため、医師は幇助を断ったという。

特に妻のダイアンさんが有名人であることからも
絶対に幇助しないようにと医師は警告し、もし方法があるとしたら唯一、VSEDだと告げた。

ジョンさんは実行し、10日後に亡くなった。

ダイアンさんは、夫の緩慢な死が納得できず、
「ジョンがとらならければならなかった死に方は、
まったくもって許しがたいものだと感じています。
あんなことは間違っています」という。

そこで、ダイアンさんは
自分のトークショーでこの問題を取り上げたり、C&Cの広報誌の表紙を飾ったり、
富裕層対象の資金集めの一連のディナー・パーティで夫との体験を語ったりと、
C&Cとともに積極的な活動を続けている。

彼女の番組が死ぬ権利論争のフォーラムと化してしまったので、
彼女が圧倒的な影響力で一方的な「死ぬ権利」アドボカシーを展開することを懸念して、
メイナード事件でも批判を展開したByock医師も登場して、
「彼女の番組のリスナーのような人にこそ、語り掛けたい」と。




読んで、皮肉だなぁ、と思うのは、
夫がVSEDで死んで、その死に方を「許しがたい」ものだったと思うというんだけど、
C&Cって、その「許しがたい死に方」であるVSEDを推進している団体なんですけど?

PASが合法化されていないところの人や合法化されていても対象外の人に向けて
VSEDなら合法的に楽に死ねますよ、と冊子まで作って方法まで細かく伝授して
自分達で広めておいて、

今度は「こんな酷い死に方しかできないのは
専門家である医師の手を借りて合法的に死ねないからだ」とでも言い始めるつもりなんだろうか?

スイスで自殺する人が続発すれば、
「海外に行ってまで自殺しなければならないのは国内で合法化されていないせいだ」
「海外に行ける恵まれた人ばかりじゃないのに、この状況は差別だ」とか、
「住み慣れた自宅じゃなくて、慣れぬ異国で死ななければならないなんて酷い」とか
言い出す人が出るし、

その人が同時に
「早く国内で合法化してくれないと、
私はまだ死ぬつもりのない時にスイスへ行って死んでやるんだから」と
脅しみたいなことを言ったりもする。

メイナードさんの論法も、
「わざわざ大変な思いをして家族でオレゴン州に引っ越さなければならなかったのは
もともと住んでいたカリフォルニア州で合法化されていなかったせいです。
私のような思いをする人が出ないようにすべての州で合法化を」だった。

そういえば、カナダの最高裁のaid in dying合法判決を受けて、
ヤングアダルトは刑法では大人と同じ扱いを受けている一方で、
終末期でも死ぬ権利は認められないというのはフェアじゃないのでは、といった論法も出てきている ↓
http://www.mtv.com/news/2081766/death-with-dignity-laws-terminally-ill-teens/

こういうのをこそ「すべり坂」って言うんじゃなかったんでしたっけ?


それから、なるほど、やっぱりC&Cの資金源は富裕層なんだなぁ、と
この記事のディナーショーの下りで納得。

そういうことなんだろうなと想像しつつも、
こういう情報しか捕まえていなかった ↓
C&Cの活動資金、ジョージ・ソロスから(2013/4/5)


【20日追記】
どうもWPは2月15日に一面でRehmさんを取り上げたらしい。
それに対して、薬物中毒に苦しんでいた10代の娘がネットの自殺指南情報や
C&Cの前身のヘムロック協会の創設者ハンフリーの自殺指南書を参考に自殺を遂げた、という
体験を持つ女性が、懸念を寄せている。


私も、こうした「理性的自殺」礼賛や、
C&CやFENによる自殺指南情報が、若い人たちに与える影響について、とても心配。

こちらで指摘したように、C&CのHPには、若い人に向けて
苦しんで死んだり、心身の機能を失うよりもVSEDで死を選ぶことは
決して悪いことではないのだと説いていると見える一節がある ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/63996632.html