拙著『死の自己決定権のゆくえ』の最後に書いたこと ~相模原障害者殺傷事件を受けて抜粋~

障害があろうとなかろうと、どんなに重い障害があろうと、生きてはならない人なんて、どこにもいない。

重い障害を負った私らの子は、次々に死んでいくようにも見えるけれど、
本当は障害のあるなしとは無関係に、誰がいつ死ぬかなんて、誰にもわかりはしない。

だから、世の中の小さく弱いものたちが今このときにも精いっぱいに生きているいのちに向かって、
そして私がたちが生きているこの世界に向かって、祈りをこめて呼びかけてみる。

生きてこの世にあるかぎり、みんな、生きてこの世にある命を、誰はばかることなく、ただ生きてあれーー。

そんな「いのち」を、せめておおらかに懐に抱ける人の世であれーー。

(『死の自己決定権のゆくえ 尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』 p.214)