オランダ政府、「もう人生は生き終えた」と考える健康な高齢者への安楽死拡大を検討

終末期に限らず、精神障害者認知症患者など対象者も拡大しつつ一方で、
2015年は5516人で、全国の死亡件数の3.9%を占めるなど、
過去10年間、安楽死者が増加の一途を辿っているオランダで、

保健大臣、Edith Schippers と、法務大臣 Ard van der Steur が議会への書簡で、
高齢者の場合には、終末期でなくても、十分に考慮した上で
自分は人生を既に十分に生き終えたと考えている人には
安楽死を認める法律を検討していることを明らかにした。

そうした、いわゆる completed life へと安楽死の対象要件を拡大することについて
検討委員会が2月に否定的な結論を出したばかりだった。

対象年齢が何歳からになるかは不明。

大臣らは2017年末までに法案を作成するとのこと。







オランダの「すべり坂」実態については、以下のエントリーなどにありますが、
タイトルをざっと見ただけでも、そのすべり方たるや、そうとうなもの。


オランダで「70歳以上の高齢者には自殺幇助を」を学者・政治家ら(2010/2/10)
オランダで“機動安楽死チーム”スタート(2012/3/2)
オランダ安楽死運動のパイオニア精神科医が「ここ2年で安楽死法は脱線してしまった」(2014/2/20)
英議会でオランダの安楽死委員会委員が「すべり坂は起きた。我々の過ちを繰り返すな」(2014/7/14)
死が単なる「ライフスタイルの選択」と化した国、オランダ(2015/1/7)
オランダの医師の3割が認知症、精神障害、「もう生きてたくない」への安楽死に容認姿勢&機動安楽死チームへの要望は急増中(2015/2/20)
オランダのNVVE、高校で安楽死教育をスタート(2015/9/13)
オランダのプライマリー・ケアでVSEDは既に広がっている(2015/9/28)
オランダの安楽死、昨年は10%増(2015/10/14)
オランダで、医師の手を借りずに“peaceful pill”による“DIY安楽死”を認めようという声(2015/12/1)
オランダの研究者らから「臓器提供安楽死」の提言:「安楽死後臓器提供」はベルギーとオランダで既に40件以上(2016/3/31)
オランダで精神障害者と認知症の人の安楽死、増加(2016/5/7)
子ども時代に性的虐待に遭った女性がPTSDを理由に安楽死 (オランダ)(2016/5/13)
オランダでは、安楽死要件外の高齢者向けに「自殺ピル」の実験開始?(2016/5/25)
オランダで今度は強制的避妊?(2016/10/9)



これらの動きの先に、上記のニュースが出てきたとなれば、

オランダの安楽死法制化が、当初こそ
個々人の尊厳ある死に方をする権利の尊重という理念で行われたのだとしても、
もはや社会保障への負担削減という政治的思惑によって
すべり坂を転がり落ちていることは一目瞭然のような……。


【14日追記】
英国では、Dr. DeathことMichael Irwin医師が
重症の喘息など深刻な病気や障害で耐えがたいと感じている人には自殺幇助を認めるべきだ、と。





この件についての日本語記事。議論の詳細が理解されていないため、completed が誤訳されている。
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52226875.html