ロイス・ローリー『ギヴァー 記憶を注ぐ者』

この本、何日かかけて読み、
最後のあたりに差し掛かった、ある日の夜に、
これまで見たうちでも1、2を争うような極め付きの悪夢にうなされて
夜中の2時に汗びっちょりで目が覚めた。

しばらく恐ろしくて布団の中で震えていた。
それくらい怖い夢だった。

(あんまり怖かったので、震えながら、
覚醒する意識を必死でたぐり寄せつつ、
夢の詳細は意識的に進んで手放した。
なので細かいところは何も覚えていない)

最初のヴァージョンが出たのは、
私が講談社の児童局で翻訳をやらせてもらっていた頃なので
この本が出たことも、評判が高い本であることも
編集の方から聞き知って、いずれ読もうと思って
そのままになっていた。

このたび、その頃にお世話になった方に新著をお送りしたところ、
「読みながら『ザ・ギバー』を思い出しました」という感想をちょうだいしたので、
その後、新評論から出た新訳『ギヴァー 記憶を注ぐ者』
図書館で見つけて読んでみたもの。

なんというか、
ある意味、カズオ・イシグロの『私を離さないで』の世界でもあり、
また別の意味ではジョージ・オウェルの『1984』でもあり、

なにしろ現在シンガーとかサヴレスキュなどが説いている道徳エンハンスメント
メディカル・コントロールの先にできていく世界があるとしたら、
これはその一つのモデルだろうな、というような。

そういえば『私を離さないで』について
福岡伸一さんが記憶に関する物語だといっていたのだけれど、
その意味でも、この小説はズバリ、記憶を巡る物語でもあります。

こんな会もあり、映画化に向かっているようです。
http://thegiverisreborn.blogspot.jp/

ヤング・アダルト向けとして出ていますが、
生命倫理関連の必読書では、と思います。




道徳エンハンスメントについては、こちらにリンク一覧あります ↓
Savulescuによる「道徳エンハンスメント」論(2013/8/19)