佐野洋子「死ぬ気まんまん」



ジュリー(沢田研二)が好きだという話のくだりで、


 今、ジュリーのような退廃的なムードを持っている人はいないし、あんなに歌がうまい人もいない。私はしみじみ、ジュリーが江戸時代の人でなくて、ナマを見れた時代に生き合わせてよかったなぁと思った。

……中略……

 それから今のジュリーも好きである。なりふりかまわず食いまくっているようにデブになった。デブになっても平然としているところが、人間が大きい。郷ひろみが、懸命に昔の体形を保とうとしているのはセコイ根性で、人間が小さいと思う。
(p.43)