地域ドゥーラ・プログラム

ドゥーラといえば、
エヴァ・キテイの『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』で読んだ記憶がある。


もうあんまりはっきり覚えていないんだけど、
「ケアする人へのケアが必要。ケアする人をケアする責任が社会にはある」ということを
産前産後の女性の傍に付き添って支援してくれる、
出産子育てを経験した女性ドゥーラの例を引いて
説いていたんじゃなかったっけか。

でも、私はなぜか、ドゥーラというのは
どこかのコミュニティにその昔にあった仕組みのことだとばかり思い込んでた。

とんでもない。
地域ベースのドゥーラという支援制度が米国には実際にあるんですね。

貧困層の女性を対象にしたサービスなのかもしれない。

検索したら、いろいろ出てくるんだけど、
例えば、これなんか、大まかなイメージが掴みやすい ↓
http://www.healthconnectone.org/pages/community_based_doula_program/66.php


妊娠中から同じ地域在住でドゥラの研修を受けた女性が支援に入り、
必要な知識や心構えや準備から、出産時の付き添い、
そして出産後の子育て支援までを行う。

そのドゥーラが
社会的に不利なバックグラウンドを背負った若いお母さんたちに役立っている
という調査結果がシカゴ大の研究者 Sydney Hansらから出てきている。

1本はPediatrics誌掲載(13年11月)の
"Breastfeeding and Complementary Food: Randomized Trial of Community Doula Home Visiting."

もう1本は Infant Mental Health Journal掲載(13年8月)の
“Promoting Positive Mother-Infant Relationships: A Randomized Trial of Community Doula Support for Young Mothers”

248人の概ね低所得のアフリカ系アメリカ人の女性を対象とし、
半数は通常の出生前ケアを受けてもらい、
残りの半数には出産前から出産後3ヶ月まで毎週ドゥラが訪問をした。

フォローアップ面接と観察から、
ドゥラの支援を受けている母親は支援を受けていない母親よりも
母乳育児をしている率が高く、子育てに対して前向きで、子どもとの関係も良かった。




読売のQ&Aサイト「大手小町」での海外での出産に関する質問には
カナダの有料サービスとしてのドゥーラについて、以下のような情報もある。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2010/1014/355587.htm?o=0&p=2

カナダではドゥ-ラという、助産師兼ナース、且つ産後の支援もしてくれる人たちがいます。ミッドワイフ(助産師)に近いですが、ミッドワイフは保険でカバーされますがドゥ-ラは有料サービスで、付き添いは出来るが、赤ちゃんを取り上げる事は出来ない、産後の赤ちゃん・家族のサポートもしてくれる。というシステムです。

この人の情報提供で、フランスのドゥーラ事情はこちら。
http://doulas.info/en/

日本でも、日本ベビーシッターサービスという会社が
ドゥーラの養成・派遣に乗り出しているみたい。
http://www.doula-jbs.com/what.html


シカゴ大学が研究している貧困層の女性向けのプログラムとは
カナダ、フランス、日本のドゥラーはまたちょっと違うようだけれど、
その分、米国のプログラムに漂う「上から目線で指導教育」の匂いも薄い。