豪のDr. DeathことNitschke医師、英国に自殺指南の拠点を開設

直前エントリーで取り上げた記事の後半の話題を
もう少し詳しい別記事で。




簡単に言えば、ニチキ医師は
1995年にオーストラリアで初めて安楽死を行ったとされる人物で、
Exit Internationalという自殺幇助推進団体を作って、推進活動を行ってきた。



これまでも(上記のリンクにあるように)
英国に出かけては自殺方法を指南するワークショップを各地で開催してきた。

この記事によると
そのワークショップや講演に参加したことのある1000人の英国人の要求に応じるべく、
4日にロンドンに自殺方法をアドバイスするクリニックをオープンした。

(ただ上記の記事のように母国でも医師免許を停止されているし、
 英国で医師として活動できるのかどうか?
「クリニック」と書いていいのかなぁ……という気も)

ただし英国の法律の範囲内で活動する、とのこと。

(そういえば、英国ではDPPが自殺幇助起訴ガイドラインを緩和して
医師による自殺幇助も直接の治療関係があるのでなければ、
起訴されにくい方向性が打ち出されたばかり ↓)
英国の自殺幇助起訴ガイドライン、緩和(2014/10/17)


記事からニチキ医師の発言を抜くと、

Most people join Exit when they realise things may not stay perfect and may the find themselves in trouble in the future,” he said. “It is easier to prepare [for death] now. That is the message Exit International has been promoting and why it is so important to have an office in London. We encourage people not to wait around until they are seriously ill before coming to see us.”

たいていの人は、先行き、どうも今のように思い通りにはいかなくなりそうだとか、困ったことになるだろうと気づいて、Exitに入ります。今では、死を準備するのは以前よりも簡単になっています。Exit Internationalが推進してきたのは、そういうメッセージです。だからこそロンドンにオフィスがあることが重要なのです。重病になる前に我々のところに相談に来てくださいとお勧めしています。


会員は、オンラインで、
どういう薬物が自殺に適しているかなどの情報を有料で得ることが出来るほか、
同じく有料でワークショップや講演会に出席することが出来る。

“Our office does not hand out barbiturates or other drugs,” said Dr Nitschke, adding that the information would help people take the most suitable course of action. “If someone decides to break the law and import drugs we make it quite clear that they know they have the right thing – and to have the substances tested to make sure they are pure. .”

バルビツールなどの薬物をウチが渡すことはしません(情報だけでも、会員は自殺するために最適の行動をとることは出来るだろうけれど)。もし誰かが違法に薬を輸入すると決めるなら、その人がきちんとしかるべき薬を手に入れられるように、また、その薬物が混ざりもののない本物であることを検査で確かめるように、きちんと伝えます。


濫用は必至だと懸念の声が上がっており、

PAS合法化推進のDignity in Dyingのトップ、Sarah Wootton氏も、
そうした事態を防ぐためにも、
自殺幇助を合法化してセーフガード整備が必要なんだ、と主張しつつも

Assuming Exit International’s intention is to provide potentially vulnerable people information on how to die then it is both unwelcome and potentially very dangerous.

Exit Internationalの意図が、弱者である可能性のある人々に死に方に関する情報を提供することにあるなら、それは歓迎できないし、非常に危険なことになる可能性がある。


でも、直前エントリーにあるように、Dignity in Dyingは
高齢者のVSED(自発的飲食停止)という方法での自殺は
指南したり推奨したりしているんだけれど、

そして、それは米国のC&CやFENも同じなんだけれど、

それは「弱者である可能性のある人々に
死に方に関する情報を提供する」ことには当たらない――?





ちなみに、7月23日のメモに、こういう話題があった ↓

英国のうつ病の女性Gillian Clarke(47)さんの自殺がFive Last Acts: The Exit Pathという自殺指南書を参考にしたものと思われることや、自殺幇助支援機関とのメールのやりとりがあったことから、検死官が自殺方法のアドバイスを提供している自殺幇助サイトへの監視強化を提言。弱者が自殺幇助団体に操作されている可能性がある、と。
http://www.thetelegraphandargus.co.uk/news/11359018.Coroner___suicide_advice_websites_should_be_named_to_allow_scrutiny_/?ref=var_0