知的障害者仕事体験週間・全国インクルージョン週間（英国）
知的障害者仕事体験週間（英国）
11月10日から16日まで、英国では「知的障害者仕事体験週間（Learning Disabilities Work Experience Week）」が開かれる。昨年に続き2回目。主催は、知的障害者チャリティであるメンキャップMencapと、インクルーシブ（包摂的）な就労を目指す雇用者の会員制組織、Inclusive Employers。体験そのものはすでに10月13日から始まっており、12月12日までの2ヶ月間に、最低一週間の期間で8時間以上。体験先は、メンキャップと雇用者と体験希望者とで合意の上で決定する。体験期間中は、メンキャップが雇用者と知的障害者の双方に具体的なアドバイスを行い、支援する。
英国の知的障害者（成人）のうち65％が就労を希望しているが、働く能力があっても有給雇用は7％に過ぎない。メンキャップではその理由を、雇用者が知的障害者の雇用に自信を持てないためだと捉えている。そこで仕事体験週間で就労を実体験し、その利点を理解してもらおうというのが狙い。メンキャップの仕事体験週間サイトの「雇用者への利点」ページには以下の利点が挙げられている。
●一般的に知的障害のある人々は全国平均よりも病欠が少ない。
●メンキャップの調査研究によると、77％の国民が障害者を雇っている雇用者をそうでない雇用者よりも高く評価している。
●2010年の平等法と、2013年に労働年金局が打ち出した障害者の就労と雇用継続のためのキャンペーン、Disability Confident campaignの理念にも適い、企業イメージのアップにつながる。
また知的障害者にも、仕事体験によってスキルを身につけたり、職場へのアクセスが就労へのチャンスにつながる利点がある。
昨年の仕事体験週間では、サウス・ウェスト・トレインズで列車の清掃係を体験したチャズとセロニーの２人が熱心な働き振りを認められ、体験期間終了後に同社の追加研修を受けたうえで、メンキャップのジョブ・コーチ受けながらフルタイムで雇用されることになった。
車両係の責任者デニス・ホーガン氏は「２人に何ができるか、見られる機会をもてたのは良かったです。それぞれスタッフ一人とペアにして、メンキャップにもジョブ・コーチで支援してもらったお陰でスムーズに行きました」と語る。もちろんセロニーは大喜び。「すごい体験でした。前はやろうと思ったこともない仕事だったけど、今では働かないかって誘われたんです！」
全国インクルージョン週間（英国）
Inclusive Employersは、インクルーシブな職場を築こうと2011年5月に立ち上げられた。現在、会員数は40で増加中。会員の職場で多様な能力の人々が働き、インクルーシブな雇用者であることで会員が商業上も利益を得られるよう、インクルーシブな文化と持続可能なインクルーシブ戦略開発の専門知識を育てるなど、会員組織の外付けのインクルージョン部署として機能する。
会員は、法律と雇用に関するヘルプラインの利用を含めた相談やアセスメントを受けられる他、Inclusive Employersが年間を通じて開く研修イベントやセミナー等に、無料または割引料金で参加できる。情報提供や相互交流ネットワークも利用できる。研修イベントは「インクルーシブなリーダーシップ」「インクルーシブなリクルートの初歩」「無意識の偏見」などインクルージョン理念の啓発に加えて、トランスジェンダー（身体的な性別と性自認が一致しない人）、神経発達障害者、精神障害者、介護者や女性などに焦点化したセッションも含まれており、内容は多岐に渡っている。中心的な理念はインクルージョン（包摂）、平等、多様性である。
10月6日から10日はInclusive Employersが主催する「全国インクルージョン週間」だった。13のイベントや、職場ごとの独自のイベントも企画された。職場でのインクルージョンについて自由にツイッターで話し合うイベントの他に、「インクルージョンの初歩」「インクルーシブな意思疎通」「職場で内向的な人、外交的な人」などのセッションの他に、アルツハイマー病協会の協力を得て認知症理解を深めるワークショップも開催された。「職場での癌管理」と題したワークショップでは、癌が治る病気になり、2030年には働くガン患者が170万人に達することから、職場でのガン患者支援について必要な知識を講義した。
週間のキャッチコピーは“Value Difference at Work（職場で、違いを尊重しよう）”。そして“Be yourself, be the best you can （ありのままのあなたで、持てる力を発揮して）”
11月10日から16日まで、英国では「知的障害者仕事体験週間（Learning Disabilities Work Experience Week）」が開かれる。昨年に続き2回目。主催は、知的障害者チャリティであるメンキャップMencapと、インクルーシブ（包摂的）な就労を目指す雇用者の会員制組織、Inclusive Employers。体験そのものはすでに10月13日から始まっており、12月12日までの2ヶ月間に、最低一週間の期間で8時間以上。体験先は、メンキャップと雇用者と体験希望者とで合意の上で決定する。体験期間中は、メンキャップが雇用者と知的障害者の双方に具体的なアドバイスを行い、支援する。
英国の知的障害者（成人）のうち65％が就労を希望しているが、働く能力があっても有給雇用は7％に過ぎない。メンキャップではその理由を、雇用者が知的障害者の雇用に自信を持てないためだと捉えている。そこで仕事体験週間で就労を実体験し、その利点を理解してもらおうというのが狙い。メンキャップの仕事体験週間サイトの「雇用者への利点」ページには以下の利点が挙げられている。
●一般的に知的障害のある人々は全国平均よりも病欠が少ない。
●メンキャップの調査研究によると、77％の国民が障害者を雇っている雇用者をそうでない雇用者よりも高く評価している。
●2010年の平等法と、2013年に労働年金局が打ち出した障害者の就労と雇用継続のためのキャンペーン、Disability Confident campaignの理念にも適い、企業イメージのアップにつながる。
また知的障害者にも、仕事体験によってスキルを身につけたり、職場へのアクセスが就労へのチャンスにつながる利点がある。
昨年の仕事体験週間では、サウス・ウェスト・トレインズで列車の清掃係を体験したチャズとセロニーの２人が熱心な働き振りを認められ、体験期間終了後に同社の追加研修を受けたうえで、メンキャップのジョブ・コーチ受けながらフルタイムで雇用されることになった。
車両係の責任者デニス・ホーガン氏は「２人に何ができるか、見られる機会をもてたのは良かったです。それぞれスタッフ一人とペアにして、メンキャップにもジョブ・コーチで支援してもらったお陰でスムーズに行きました」と語る。もちろんセロニーは大喜び。「すごい体験でした。前はやろうと思ったこともない仕事だったけど、今では働かないかって誘われたんです！」
全国インクルージョン週間（英国）
Inclusive Employersは、インクルーシブな職場を築こうと2011年5月に立ち上げられた。現在、会員数は40で増加中。会員の職場で多様な能力の人々が働き、インクルーシブな雇用者であることで会員が商業上も利益を得られるよう、インクルーシブな文化と持続可能なインクルーシブ戦略開発の専門知識を育てるなど、会員組織の外付けのインクルージョン部署として機能する。
会員は、法律と雇用に関するヘルプラインの利用を含めた相談やアセスメントを受けられる他、Inclusive Employersが年間を通じて開く研修イベントやセミナー等に、無料または割引料金で参加できる。情報提供や相互交流ネットワークも利用できる。研修イベントは「インクルーシブなリーダーシップ」「インクルーシブなリクルートの初歩」「無意識の偏見」などインクルージョン理念の啓発に加えて、トランスジェンダー（身体的な性別と性自認が一致しない人）、神経発達障害者、精神障害者、介護者や女性などに焦点化したセッションも含まれており、内容は多岐に渡っている。中心的な理念はインクルージョン（包摂）、平等、多様性である。
10月6日から10日はInclusive Employersが主催する「全国インクルージョン週間」だった。13のイベントや、職場ごとの独自のイベントも企画された。職場でのインクルージョンについて自由にツイッターで話し合うイベントの他に、「インクルージョンの初歩」「インクルーシブな意思疎通」「職場で内向的な人、外交的な人」などのセッションの他に、アルツハイマー病協会の協力を得て認知症理解を深めるワークショップも開催された。「職場での癌管理」と題したワークショップでは、癌が治る病気になり、2030年には働くガン患者が170万人に達することから、職場でのガン患者支援について必要な知識を講義した。
週間のキャッチコピーは“Value Difference at Work（職場で、違いを尊重しよう）”。そして“Be yourself, be the best you can （ありのままのあなたで、持てる力を発揮して）”
