『偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う』


ちゃんとエントリーにしたいと思いつつ、
余裕がないままに図書館の返却期限が来てしまったので、

読んだということそのものをメモするためみたいな
エントリーになってしまうのだけど。



バルサルタン事件が報道され始めた時に、
私の最初の印象は「英米で何年も前から大きなスキャンダルになってきて
日本の関係者は誰もが知っていたのに知らないことにしてきたこと。
同時に、日本でだけ行われていないわけはないし、それだって
誰もが知っていたはずなのに、知らないことにしてきた。
そういうことが、ようやく遅ればせながら
具体的な事例として明るみに出たんだな」というものだったし、

この本に書かれている事件の詳細と、
そこで指摘されている問題は、

これまで当ブログの、
例えば以下のようなエントリーで取り上げてきた、
「科学とテクノで簡単解決文化」と結びついた
グローバル人でなし強欲ネオリベ金融(慈善)資本主義の構造的問題。




だから、この本に書かれていることは、
ただただ「はじめに」の最初の数行に尽きる。

薬は誰のためにあるのか。

私たちは、そんな当たり前のことから問い直さなければならない現実を突き付けられた。研究者たちの名誉欲や製薬企業の利益市場主義によってゆがめられた科学が、薬を売るための道具となっている――。
(p.2)


具体的な情報としては、
例えば、インフルエンザの治療薬タミフルに関するこちらのエントリーにリンク一覧。


医学ジャーナルの「出版バイアス」については、
2008年のこちらのエントリーとか、
2009年のこちらのエントリーにも。



ちなみに、バルサルタン問題を機に
これらの情報を取りまとめる形で私が書いた連載記事はこちら ↓
『介護保険情報』連載第88回:モラルと信頼性を失っていく製薬会社―米国(2013/10/4)