BioEdgeから生殖補助関連3題

地震のネパールから代理母は置き去りに子どもだけイスラエル

インドとタイが代理母産業への規制を強化して後、
インドのエージェンシーが顧客をネパールへ回し、
ネパールは人知れず、代理母産業のハブとなっていた模様。

イスラエルでは同性愛者や独身者への代理母は非合法のため、
イスラエル人の顧客がネパールを目指す。

ネパールでは代理母は違法行為だが、
その対象となるのはネパール人のみとあって、
インドの女性がカトマンズへ行ってイスラエルの顧客の代理母をやる、という構図。

そのネパールで大きな地震があったのは4月25日。

ネパールのイスラエル人を退避させるための飛行機に乗せられて、
代理母によってイスラエルのクライアントのために生まれた赤ちゃんが
15人、26人、それから更に4人と、次々に救出されていった。

しかし、
彼らを産んだ代理母の女性たちは誰一人、飛行機に乗っていない。

イスラエルの顧客のために現在、妊娠中の代理母100人も
ネパールに残されたままとなっている。

イスラエルの新聞のOp-Edからの引用。

I know I may sound overly worked up about this issue, which is complex, painful, and touches our most personal and humane places as a society. But the attitude toward these women, or more accurately, the lack of one, in the midst of the earthquake story sheds light on exactly what’s problematic about surrogacy: The surrogate mothers have become a commodity, yet another product to be bought on the open market. Or to be more precise, these women, their wombs and their time have become commodities for Israeli men.

……(前略)……しかし、地震報道のさなかでの、これらの女性への対し方、より正確に言えば、その欠落こそが、代理母のなにが問題かをあぶりだしている。すなわち、代理母は商品になったのであり、買うことのできる商品として公開市場に出されたのである。より正確に言えば、これらの女性、彼女らの子宮と時間とが、イスラエルの男性向けの商品となったのである。



精子ドナーの「やっぱり父親として関わりたい」希望、裁判所が認める

米国ヴァージニア州のRobert Boardwineさんは2010年に
友人のJoyce Bruceさんに精子を提供した。

生まれた子はBruceさんがひとりで育てる、との合意だった。

Bruceさんは七面鳥を焼くときに使うゴム球つきのチューブで
その精子を子宮に自分で挿入し妊娠。

しかし、その後Boardwineさんは気持ちが変わり、
子育てにかかわりたいと望むようになった。
Bruceさんは拒否し、Boardwineさんは親権と面会権を求めて提訴。

ヴァージニア州の上訴裁判所の判事3人は
Boardwineさんの訴えを認めた。

その理由とは、
The conception “did not result from artificial insemination or any intervening medical technology”

すなわち、Bruceさんの妊娠が
人工授精その他の医療技術によるものではないから。

生命倫理学者らから生殖子ドナー法の改正を求める声が出ている。

Landaster大の生命倫理学者 Reuven Brandt医師は、

Since legal parenthood is a morally weighty designation that has an enormous impact on the wellbeing of many people, it should track the morally relevant facts as much as possible. The type of equipment used and the involvement of licensed medical professionals seem irrelevant to the moral facts.

A donor or a father?
BioEdge, May 16, 2015


“革命的”な?卵子の質改良技術で赤ちゃん誕生

これは昨日のメモでも拾った話題。

米国ボストンの会社、OvaScienceが
本人の卵巣から採取した卵子幹細胞から取り出したミトコンドリア
卵子に注入することによって、卵子の質を向上させる技術“Augment”を開発。

米国ではいまだFDAが認可していない遺伝子治療と見なされるため使うことができず、
カナダの34歳の女性がこの技術によってZain Rajani君を産んだ。


Time紙の報道は

A lack of regulation of most reproductive technologies … and the dominance of business-minded scientists has rushed new methods to clinics, often before their effectiveness has been fully proven.


A・Caplanは、

You’re innovating in an area where the burden of a bad outcome goes on for a lifetime and the person bearing the highest cost can’t consent.