利光恵子著/松原洋子監修 『戦後日本における女性障害者への強制的な不妊手術』メモ (中)
前のエントリーからの続きです。
本書の中心は、4人の女性への聞き取り調査。
① 飯塚淳子さん(仮名)
飯塚さんが手術を受けさせられた宮城県中央優生保護相談所付属診療所は、
もっぱら優生保護法第4条と第12条による優生手術を行っていた医療機関で
所長の長瀬秀雄医師は、宮城県中央優生保護相談書所長を兼任。
もっぱら優生保護法第4条と第12条による優生手術を行っていた医療機関で
所長の長瀬秀雄医師は、宮城県中央優生保護相談書所長を兼任。
「人口資質の劣悪化を防ぐため精薄者を主な対象とした優生手術」と
「積極的によい結婚(近親結婚、資質劣悪者との結婚を避ける)」とを
「家族計画事業」として推進していた人物。
「積極的によい結婚(近親結婚、資質劣悪者との結婚を避ける)」とを
「家族計画事業」として推進していた人物。
中学3年で軽度知的障害児入所施設に入所、
卒業後、職親の元に住み込み。差別的な扱いを受けた。
卒業後、職親の元に住み込み。差別的な扱いを受けた。
本人は職親の妻に診療所に連れて行かれても病気だから入院するのだと思っていたという。
手術後は月経のたびに転げまわるほどの腹痛があり、疲れやすいなどの不調が続く。
結婚もしたが子どもが産めないことで離婚に。
手術後は月経のたびに転げまわるほどの腹痛があり、疲れやすいなどの不調が続く。
結婚もしたが子どもが産めないことで離婚に。
父親に問いただすと、
民生委員と職親から「あれじゃ駄目だから、ハンコを押せ」と責められて、
仕方なく押した、と聞いた。
民生委員と職親から「あれじゃ駄目だから、ハンコを押せ」と責められて、
仕方なく押した、と聞いた。
飯塚さんの語りには、
知らないうちに不当に生殖機能を奪われてしまったがゆえに、
そこにこだわり続けないでいられない女性の苦悩が滲み出ている。
知らないうちに不当に生殖機能を奪われてしまったがゆえに、
そこにこだわり続けないでいられない女性の苦悩が滲み出ている。
私の親でもない他人が、なぜ、子どもを産めなくすることができるのか。私の人生、返してほしい…何も悪いこともしていないのに、奥さんが私に「他人の子だから憎たらしい子だね」と、たびたび言ってたので、それで、優生手術をするようにしたのでは、と私は思っている。
(p.34)
(p.34)
そこには、貧困、障害、女性に対する差別が絡み合い、凝縮されている姿をみることができる。
(p. 41)
(p. 41)
次のエントリーに続きます。