難病の14歳少女、呼吸器を外して死ぬ決断(米)

米国ウィスコンシン州の14歳の少女 Jerika Bolenさんは
進行性の不治の病であるSMA2(脊髄性進行性筋萎縮症2型を患い、
これまでに30回以上の手術に耐え、
現在も毎日12時間を人工呼吸器を使用して暮らしている。

最近受けた手術から、痛みが耐えがたくなり、
こんなにまでして生きているのは自分のためか家族のためかと自問してみたところ、
家族のためだと感じて、8月に人工呼吸器を使うことをやめて死ぬことを選択しようと決めた。

そんな彼女のため、22日に学校でプロム(卒業祝いのダンスパーティ)が開催されて、
何百人という人が彼女の人生を祝福するべく集まった。

Jerikaさんはプロム・クイーンとして楽しい時間をすごしたとのこと。





思い出すのは、Tim Bowersさんのこと ↓
全身麻痺になった翌日に「自己決定」で人工呼吸器取り外して死亡(米)(2013/11/17)

バウアーズさんの事例は、分類で言えば、望まない医療の拒否、
いわゆる「消極的安楽死」、日本でいうところの「尊厳死」なのだろうと思いつつ、
「でも、ここで呼吸器を取り外す医師の行為は自殺幇助なのではないか」という引っ掛かりが
どうしてもぬぐえないのですが、

Jerikaさんの事例を報道する記事が
タイトルでこれを「自殺幇助」と捉えていることはとても興味深いと思います。

もちろん、Jerikaさんの決断も、
14歳という年齢も未成年ながら「成熟した未成年 mature minor」であることを考えると、
分類からすれば、バウアーズさんと同じく「望まない医療を拒否する権利」の行使であり、消極的安楽死
自殺幇助ではないのだろうと思うのですが、

そこの境目が、医師幇助自殺の合法化や「死ぬ権利」議論の広がりと共に
どんどん曖昧になっていくことそのものが、やはり「死ぬ権利」議論の「すべり坂」ではないか、と。

ちなみに、ウィスコンシン州では医師幇助自殺は合法化されていません。


【25日追記】
以下、報道は増えていますが、
死を決断した少女にみんなが「最後のダンスを」とプロムを開いてあげた、という
美談に仕立て上げられている感じがして、違和感。





【9月26日追記】
Bolenさんは22日に人工呼吸器を外してもらって死亡。ただし、この精神科医による記事は彼女の決断が安楽死や自殺幇助の容認に安易に繋がらないよう、警告するもの。
http://www.foxnews.com/opinion/2016/09/24/14-year-old-has-been-allowed-to-decide-to-die.html
http://hotair.com/archives/2016/09/23/jerika-bolen-died-last-night/