某国立大学X教授のご講演に抗議している件について

某国立大学の教授が数年前にされた1時間40分のご講演のうち、
前半の約30分の内容の大半と、その後も2枚のスライドが
拙著『死の自己決定権のゆくえ 尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』(大月書店)からの
一字一句そのまま、あるいは多少の手を入れたコピペとなっていることが
4月1日に判明しました。

私は著作権侵害ではないかと考え、講演の当該部分の文字起こしをし、
講演の文字起こしと拙著の内容を対照する詳細な表を作りました。

対照表はかなり長いものとなりました。

その対照表を資料として添付の上、
4月10日に当該講演の主催者のメールアドレスに
X先生と主催者様宛てのメールを送り、抗議しました。

そして、
当該講演サイトで、著作権侵害を認め、
謝罪する文書を掲載していただくよう求めました。

4月17日から19日にかけて、実質3回のやりとりがあり、
その間に先方のご主張は、以下のように変遷していきました。

「引用」のやり方が「不注意」だったに過ぎない
         ↓
児玉の著書を世間に広めてやろうと善意で「紹介」したに過ぎない
         ↓
大学の講義などで、他人の著作や文献の抜粋・コピーを資料として配布するのと同じこと。
「文献内容の『紹介』による論の補強であった」


そして、17日段階での、
児玉の著書を広く世間に知らせたいと紹介したのであり、
悪意でやったことではないのだから「明らかな」著作権侵害ではない、とのご主張は

19日のメールで、
今回のケースが法律上の「違反」に当たるのかどうかは判断できないという意味で、
要求には応じられないと回答したのだ、と修正されました。

4月1日からの事態の推移については、
本件当事者として私には不本意な出来事がいくつもあり、
まだまだ気持ちの整理がついておらず、
冷静にご報告することができません。

現在の状況としては
5月9日にX先生と講演主催者さまに対して、
以下のメールをお送りし、ご対応をお待ちしている段階です。


X先生
講演主催団体運営委員会の皆さま

おはようございます。児玉真美です。

(主催団体代表)Zさまが4月19日のメールで書いておられたように、X先生のご講演が法的な著作権侵害に当たるのかどうかは私にもわかりません。またX先生が「著作権侵害は犯罪なので公に認めることはできない」とおっしゃっていたともお聞きしており、その後、私なりに考えてみました。

X先生は「(事実関係が公になったら)学者生命が終わる」ともおっしゃったとのことですから、ご講演での拙著の扱いが、少なくとも4月のご主張のような「引用」や「紹介」や「多くの人がやっていること」という類のものでなかったことは、十分ご認識なのではないでしょうか。実際、X先生はご講演の問題箇所の冒頭で「私も進化しておりますので」と、そこでお話しになる海外状況についてはご自身の研究成果であるとの含みで発言しておられます。

私はその実態をありのままに非として認めて誠実に謝罪してほしいと望んだだけで、必ずしも「法的な非」を認めてほしいという意図ではなかったのですが、これまでのように言を左右してあくまで非を認めない対応をとられ、一方では人を通じて児玉を黙らせて終わりにしてしまおうと動かれたのでは、私も気持ちの整理がつきかねます。

そこを突き詰めていくと、最後は訴訟で白黒つけるしかないということになってしまうのかもしれませんが(一応、当該講演の動画は保存させていただきました)、X先生のご病気を考えても、互いの年齢を考えても、そのようなことに多大の時間とエネルギーを費やさなければならない事態は、誰のためにもならないように思います。そこで、4月10日にお送りした要求を取り下げ、改めて以下のお願いをいたします。

当該の講演情報ページとYouTube動画に、「この講演には、『死の自己決定権のゆくえ―尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』(大月書店)の著者、児玉真美より、著作権侵害にあたるのではないか、との抗議が寄せられている」という事実を、記載していただけないでしょうか。

その際には、私の主張の内容として、必ず、4月10日にそちらにお送りした対照表の全文を併記してください。リンクを開けば読める、という形でも構いません。

来年3月末までの、なるべく早い時期にご対応をいただきたく、よろしくご検討ください。

なお、私がZさまとやりとりさせていただいている間に、それと同時進行する形でX先生が次々に個人的なお知り合いに仲介を頼んで回られたことが、この問題をめぐる事態に無用の混迷をもたらしました。それによって、私はさらに傷を深めましたし、事態に巻き込まれた方々もそれぞれに傷を負われることとなりました。この先は、そういうことは、どうぞご遠慮ください。

2017年5月9日
児玉真美


5月21日以降、
このブログは基本的には新たなエントリーを公開しないことにしておりましたが、
この件については「『やってもいい人』問題」という書庫を立ち上げており、
いずれまた、このブログにてご報告したいと考えております。


【21:41 追記】
進行形の事態でもあり、お返事ができにくいため、
どなたからも、また他のエントリーのコメント欄においても、
この件についてのコメントはなるべくお断りしたく、
大変勝手ながらご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。