米国内科医学会 すったもんだの挙句、PAS反対のスタンス堅持
昨年5月に米医師会倫理法務委員会が出した報告書で
主として欧州のすべり坂懸念を理由に、
PASに反対のスタンスを堅持すべきだと結論付けたものの、
翌6月の代議員会で否決されて、委員会に差し戻され、
主として欧州のすべり坂懸念を理由に、
PASに反対のスタンスを堅持すべきだと結論付けたものの、
翌6月の代議員会で否決されて、委員会に差し戻され、
それに対して同委員会がまた同じ結論の報告書を出すなど、
議論が真っ二つに割れて、すったもんだしていた問題が、
やっと一応の決着を見たようです。
やっと一応の決着を見たようです。
https://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/ama/80384
https://www.google.com/url?rct=j&sa=t&url=https://freebeacon.com/issues/ama-reaffirms-opposition-to-assisted-suicide/&ct=ga&cd=CAEYBCoTNTI2NzE2NzEyODAwNzg1NDA4OTIaMmQxNmIzYmJhMzg4MTlhNDpjb206ZW46VVM&usg=AFQjCNGQN1sWouPEllbRlPGXkW_LnPvPJQ
https://www.cnsnews.com/news/article/patrick-goodenough/american-medical-association-call-it-physician-assisted-suicide-not
https://www.google.com/url?rct=j&sa=t&url=https://freebeacon.com/issues/ama-reaffirms-opposition-to-assisted-suicide/&ct=ga&cd=CAEYBCoTNTI2NzE2NzEyODAwNzg1NDA4OTIaMmQxNmIzYmJhMzg4MTlhNDpjb206ZW46VVM&usg=AFQjCNGQN1sWouPEllbRlPGXkW_LnPvPJQ
https://www.cnsnews.com/news/article/patrick-goodenough/american-medical-association-call-it-physician-assisted-suicide-not
報告書の眼目(とspitzibaraは考える)文言に関する指摘部分についても、
完全な選択肢が存在しない以上、倫理議論のためには
plainly descriptive language(明々白々に叙述する文言)を用いるのが良いとして、
最も正確なPhysician-Assisted Suicideとすべき、と。
完全な選択肢が存在しない以上、倫理議論のためには
plainly descriptive language(明々白々に叙述する文言)を用いるのが良いとして、
最も正確なPhysician-Assisted Suicideとすべき、と。
とはいえ、学会内の意見はなおも割れている。
記事からとりわけ興味深い発言を。
●ワシントン州の代議員の発言
患者の命を奪うことは許容されるという考えを医師がひとたび受け入れてしまえば、医師幇助自殺は安楽死へと進むことが不可避だということだ.
●C&Cのディレクターでもあるオレゴンの代議員の発言
患者がこうした要望を利用することは極めてまれだが、それでも患者が苦しんでいる時に、これは我々が与えることができる対応である。敵は死ではなく、敵は終末期の苦しみなのだ。その苦しみに安楽を提供する方法で対応するが、最も大事なことだ。
C&Cにとって、「死なせること」はすでに完全に緩和ケアなのですね。
We would not give our patients a gun or revolver… so we should not be supplying them with lethal drugs. Physician-assisted suicide violates natural moral law. We urge the AMA to stand firm, as any change from the current position will only confuse the public as to the intention and role of their physicians.
米メイン州議会をPAS合法化法案が通過、知事のもとへ
3日の下院では73-72。
4日火曜日、上院で19-16で可決。
4日火曜日、上院で19-16で可決。
知事はこれまで立場を明らかにしていない。
https://www.pressherald.com/2019/06/03/assisted-suicide-bill-passes-maine-house-by-one-vote/
https://www.washingtonexaminer.com/policy/healthcare/bill-legalizing-assisted-suicide-reaches-maine-governors-desk
https://www.wmtw.com/article/death-with-dignity-bill-approved/27702816
https://www.washingtonexaminer.com/policy/healthcare/bill-legalizing-assisted-suicide-reaches-maine-governors-desk
https://www.wmtw.com/article/death-with-dignity-bill-approved/27702816
https://edition.cnn.com/2019/06/05/politics/maine-medical-suicide-death-with-dignity-bill/index.html
The bill requires the patient to make two oral requests and a written request for the medication, with the written request being made at least 15 days after the initial oral request. The patient would also need to wait at least two days after they make their written request to receive the prescription and they would need receive a second opinion by a consulting physician.
The proposal defines "terminal disease" as "an incurable and irreversible disease that has been medically confirmed and will, within reasonable medical judgment, produce death within 6 months." Patients who doctors determine are "suffering from a psychiatric or psychological disorder or depression causing impaired judgment" would be prohibited from receiving life-ending medication, according to the legislation.
CNNThe proposal defines "terminal disease" as "an incurable and irreversible disease that has been medically confirmed and will, within reasonable medical judgment, produce death within 6 months." Patients who doctors determine are "suffering from a psychiatric or psychological disorder or depression causing impaired judgment" would be prohibited from receiving life-ending medication, according to the legislation.
Lambert事件続報
2014ー15年に裁判となった以下のLambertさんのケースが、
ふたたび、訴訟になっている。
ふたたび、訴訟になっている。
Nicklinson訴訟で、英国最高裁「PAS禁止はプライバシー権と相反」 ・フランスでは安楽死実行の医師に無罪判決・もう一つLambert事件(2014/6/25)
ヨーロッパ人権裁判所、Lambertさんの生命維持中止を認める(2015/6/5)
Lambertさんの生命維持続行は、医師の専門性と独立性に基づいた決定権、と仏裁判所(2015/10/12)
ヨーロッパ人権裁判所、Lambertさんの生命維持中止を認める(2015/6/5)
Lambertさんの生命維持続行は、医師の専門性と独立性に基づいた決定権、と仏裁判所(2015/10/12)
【21日追記】続報
20日に医師らが胃ろうからの水分と栄養の補給を中止。
その12時間後に、上訴裁判所が継続を命令。
https://kfgo.com/news/articles/2019/may/20/doctors-to-end-care-for-french-patient-in-landmark-right-to-die-case/
https://www.european-views.com/2019/05/french-court-rules-in-favor-of-life-support-in-divisive-passive-euthanasia-case/
20日に医師らが胃ろうからの水分と栄養の補給を中止。
その12時間後に、上訴裁判所が継続を命令。
https://kfgo.com/news/articles/2019/may/20/doctors-to-end-care-for-french-patient-in-landmark-right-to-die-case/
https://www.european-views.com/2019/05/french-court-rules-in-favor-of-life-support-in-divisive-passive-euthanasia-case/
盛永審一郎先生の関連記事
20日にランベールさんに適用されたのは、
フランスが16年の新法による持続的な深い鎮静による「ソフトな安楽死」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190521-00056445-jbpressz-soci&p=1
20日にランベールさんに適用されたのは、
フランスが16年の新法による持続的な深い鎮静による「ソフトな安楽死」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190521-00056445-jbpressz-soci&p=1
【22日追記】
バチカンが抗議
https://www.breitbart.com/health/2019/05/21/vatican-protests-euthanasia-of-disabled-man-vincent-lambert-as-grave-violation/
バチカンが抗議
https://www.breitbart.com/health/2019/05/21/vatican-protests-euthanasia-of-disabled-man-vincent-lambert-as-grave-violation/
フランス人がベルギーへと安楽死ツーリズム
http://brusselstimes.com/belgium/health/15774/more-french-people-coming-to-belgium-for-euthanasia
http://brusselstimes.com/belgium/health/15774/more-french-people-coming-to-belgium-for-euthanasia
生権力・生政治・生資本についてのメモ
「生権力」については、
フーコーの「〈死なせるか生きるままにしておく〉という古い権力に代わって、
〈生きさせるか死の中に廃棄する〉という権力が現れた」という
有名(らしい)表現を含め、モヤモヤしたところに留まっていた。
フーコーの「〈死なせるか生きるままにしておく〉という古い権力に代わって、
〈生きさせるか死の中に廃棄する〉という権力が現れた」という
有名(らしい)表現を含め、モヤモヤしたところに留まっていた。
この度ひょんなことから
『科学技術社会論研究』第17号(特集―身体・生命・人間の資本論)という
モノを知らない素人は存在すら知らなかったジャーナルを手にし、
そこに収録された論文を読んでいたら、モヤモヤがかなりスッキリしてきたので、
個人的なメモとして、このエントリーに取りまとめておきたい。
『科学技術社会論研究』第17号(特集―身体・生命・人間の資本論)という
モノを知らない素人は存在すら知らなかったジャーナルを手にし、
そこに収録された論文を読んでいたら、モヤモヤがかなりスッキリしてきたので、
個人的なメモとして、このエントリーに取りまとめておきたい。
ちなみに、ネット上コトバンクでの「生権力」の説明は以下。
フランスのポストモダンの哲学者フーコーの用語。近代以前の権力は、ルールに従わなければ殺す(従うならば放っておく)というものだったが、近代の権力は、人々の生にむしろ積極的に介入しそれを管理し方向付けようとする。こうした特徴をもつ近代の権力を「生-権力」とフーコーは呼ぶ。具体的には2つの現れ方があり、1つは個々人の身体に働きかけて、それを規律正しく従順なものへ調教しようとする面である。学校や軍隊において働くこの種の権力は「規律権力」とも呼ばれる。もう1つは、統計的な調査等々にもとづいて住民の全体に働きかけ、健康や人口を全体として管理しようとする面である。こうしたフーコーの権力論は、近代になって個々人の自由が広く認められるようになったという一般的なイメージを覆し、近代を個々人を巧妙に支配管理する権力技術が発達してきた時代として捉えるものだった。またこれは、政治権力を奪取しさえすれば理想社会が到来すると見なす、マルクス主義的な権力観に対する根底的な批判でもあった。フーコーの権力論は、いまも社会学や社会運動に大きな影響を与えつづけているが、他方で、権力の正当性の基準を欠き、どういう法律や政策ならば正しいかを決定しえないという批判もある。
(西研 哲学者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
(西研 哲学者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
――そこで『科学技術社会論』第17号。
組換えDNA技術の登場と、
それに伴って研究者らがガイドラインを検討した1975年のアシロマ会議を
「生物学の歴史の中で、その学問的な成果を広く応用して工業化可能性を拓くことができる、
新たな時代が登場したと言える初めての科学史上の出来事」だった。
それに伴って研究者らがガイドラインを検討した1975年のアシロマ会議を
「生物学の歴史の中で、その学問的な成果を広く応用して工業化可能性を拓くことができる、
新たな時代が登場したと言える初めての科学史上の出来事」だった。
さらに、1990年代のヒトゲノムプロジェクトの始まりによって
生命科学技術の新たな領域の立ち上がりに伴うELSI問題群が意識されることになった。
(ELSI=Ethical, Legal and Social Issues)
生命科学技術の新たな領域の立ち上がりに伴うELSI問題群が意識されることになった。
(ELSI=Ethical, Legal and Social Issues)
しかし、生命科学技術と社会の問題を現実に即して捉えるなら
倫理という側面からだけ論じることには限界があり、
「既に存在している規則や習慣どの人の行為の背景にあって前提となっている
権力構造を描き出していく」ことなど、政治哲学的な問題構造の議論も必要。
倫理という側面からだけ論じることには限界があり、
「既に存在している規則や習慣どの人の行為の背景にあって前提となっている
権力構造を描き出していく」ことなど、政治哲学的な問題構造の議論も必要。
そこで、この特集においては、
「政政治」「生権力」「身体の商品化」「生命の資源化」「生資本biocapital」という
考え方を鍵として、この問題を考える、と。
「政政治」「生権力」「身体の商品化」「生命の資源化」「生資本biocapital」という
考え方を鍵として、この問題を考える、と。
②廣野喜幸(東京大学)の「人体の商品化と生権力」からメモ
近代以前の君主型の「死権力」に対比される新たな政治権力「生権力」の
4つの特徴が解説されている。
4つの特徴が解説されている。
第1の特徴とは以下。
これはリアルに説得力がある。
第2の特徴は、
「ゾーエー(命)が関与するのが死権力であり、ビオス(生活)が関わるのが生権力」
「ゾーエー(命)が関与するのが死権力であり、ビオス(生活)が関わるのが生権力」
気に入らなければ殺すけど、それ以外は放っておく君主型の死権力に対して、
生権力は、このように生きよ、と支配を及ぼしてくる、ということですね。
生権力は、このように生きよ、と支配を及ぼしてくる、ということですね。
……新種の権力は、さまざまな生き方の中である種の生き方を規範=パラダイム化し、そうした生き方へと人々を強要する作動機構を持つような存在なのである。(p. 25)
第1の特徴とセットになって、この「強要」は
身の回りの日常生活でも、ネットで見るニュースの中でも、リアルに目撃しているところ。
身の回りの日常生活でも、ネットで見るニュースの中でも、リアルに目撃しているところ。
……
生きている被造物としての人間の生命の潜在力をコントロールし、管理し、設計し、つくりなおし、調整することの可能性にこそかかわるのである。それこそが、私が示唆する「生そのもの」の政治なのである。(Rose 2007=2004、12-3) (p.43)
生きている被造物としての人間の生命の潜在力をコントロールし、管理し、設計し、つくりなおし、調整することの可能性にこそかかわるのである。それこそが、私が示唆する「生そのもの」の政治なのである。(Rose 2007=2004、12-3) (p.43)
つまり、なんらかの科学的な知見によって正当化されつつ行われる
いわゆる「命の線引き・選別」のことですね。
いわゆる「命の線引き・選別」のことですね。
ここで法的、倫理的な議論がその正当化の役割を担ってもいることは、
拙ブログでも考えてきた通り。
拙ブログでも考えてきた通り。
そして、第4の特徴は以下。
20世紀前半に、科学知によって生命が序列化され、
「低い階層の生命が高い階層の生命に寄与することを強制されるようになって」いき、
ナチスを念頭に置いたフーコー、アガンベン、エスポジトも政治の次元に焦点を合わせたが、
「低い階層の生命が高い階層の生命に寄与することを強制されるようになって」いき、
ナチスを念頭に置いたフーコー、アガンベン、エスポジトも政治の次元に焦点を合わせたが、
しかし、人体の商品化において複縦がささげられる先に位置するのは資本システムである。政治権力ではなく経済権力が台頭し、権力システムの主要アクターとなったのである。(p.27)
そうした生権力の様相を、臓器移植医療、尊厳死・安楽死を通して如実に分析したのが
小松美彦先生の著作なのだけれど、この特集では
生殖と医療システムの周辺での生権力のうごめきを指摘する論文が多く、興味深かった。
小松美彦先生の著作なのだけれど、この特集では
生殖と医療システムの周辺での生権力のうごめきを指摘する論文が多く、興味深かった。
それらの中から、「生権力」概念を理解するのに役立った辺りをメモとして。
③柳原良江(東京電理大学)「代理出産というビジネスー経緯・現状とそれを支える文化構造」
……一方「商業資本」が「常時永続化」するために想像する「価値」が浸透した社会では、需要は増え続ける一方であり、不足はますます深刻化する。(p. 87)
「生-資本」の圧力により代理出産が合法化されたのち現れるのは、これまで巧みに隠蔽されてきた、女性と子供に対する、あからさまな、そして時にはなりふり構わぬ商品化である。(p. 87)
ここらあたり、私が素人の稚拙な言葉ではあるけれど、
「意図的にばらまかれる“コントロール幻想”によって人々の欲望を新たに掘り起こしては
そこにマーケットが創出され、そのマーケット自体が消費されていく経済構造のカラクリ」
として捉えてきた事態そのものが、まさに「生権力」の露われだったのだなぁ、と再確認。
「意図的にばらまかれる“コントロール幻想”によって人々の欲望を新たに掘り起こしては
そこにマーケットが創出され、そのマーケット自体が消費されていく経済構造のカラクリ」
として捉えてきた事態そのものが、まさに「生権力」の露われだったのだなぁ、と再確認。
④山本由美子(大阪市立大学大学院)「胎児組織利用と子産みをめぐる統治性および生資本」
……今日の生権力における統治技法とは、妊婦に対して、自らの意志のもと身体ごとバイオ資本経済活動に参加する自由を保障したうえで、ある種の「救済」の価値づけを与えたのではないだろうか。胎児の質を選ぶのではなくみずからの人生のありようを選ぶ形で、選別的中絶を、個人のよりよい生の実現の中に包摂したのである。優生的な表象や概念をみじんも用いることなしに、人口管理だけでなく生資本の収集までも可能にしようとしている。これが今日にみる子産みの統治といえる。(p. 111)
他にも、以下の論文など、
自分なりに考えてきたことが専門的な言葉で論理的に説明されていく感じがして
大いに勉強にもなり、面白かった。
自分なりに考えてきたことが専門的な言葉で論理的に説明されていく感じがして
大いに勉強にもなり、面白かった。
「高齢者をめぐる生政治―医療費増加の責めを高齢者に帰する言説の分析」花岡龍毅
「『遺伝子検査』へのダブルスタンダードと不透明な未来」武藤香織
「診療記録の資源化―医療情報の電子化と次世代基盤法」佐々木香織
「人体の資源化と社会装置としての幹細胞バンク」見上公一
「『遺伝子検査』へのダブルスタンダードと不透明な未来」武藤香織
「診療記録の資源化―医療情報の電子化と次世代基盤法」佐々木香織
「人体の資源化と社会装置としての幹細胞バンク」見上公一
で、読後感としては、
「生権力」「生政治」「生資本」とは、
当ブログで様々に素人の稚拙な言葉で捕まえてきたもののことだったんだなぁ、と。
「生権力」「生政治」「生資本」とは、
当ブログで様々に素人の稚拙な言葉で捕まえてきたもののことだったんだなぁ、と。
「医学・医療の問題だったことが今では政治経済の問題になっている」
オレゴン州上下院に「尊厳死法の」要件緩和法案
自分で毒物を飲み込めない人には、スイスで行われている点滴方式も。
「臓器提供安楽死」求める声に移植医からの懸念
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
GA州のALS男性が「臓器提供安楽死」を希望(2010/7/25)
やっぱりCNNが飛びついたGA州ALS患者の「臓器提供安楽死」希望(2010/7/30)
GA州の「臓器提供安楽死」希望でキャスターがALSを「ターミナルな病気」(2010/8/10)
脳死者減少が必至なら倫理の線引き変更の必至? 「人為的脳死後臓器提供安楽死」も?(2012/2/14)
スイスの「バイオ医療倫理学者」が幇助自殺者からの臓器提供を提唱(2014/12/16)
英国の移植医、「胎児に重篤な欠陥あったら、生んでもらって臓器ドナーに」(2016/3/10)
オランダの研究者らから「臓器提供安楽死」の提言:「安楽死後臓器提供」はベルギーとオランダで既に40件以上(2016/3/31)
カナダ・ケベック州も安楽死後臓器提供へ?(2017/1/15)
カナダの医師とトゥルーグが臓器移植安楽死に向けた法改正を提言(2018/9/20)
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
GA州のALS男性が「臓器提供安楽死」を希望(2010/7/25)
やっぱりCNNが飛びついたGA州ALS患者の「臓器提供安楽死」希望(2010/7/30)
GA州の「臓器提供安楽死」希望でキャスターがALSを「ターミナルな病気」(2010/8/10)
脳死者減少が必至なら倫理の線引き変更の必至? 「人為的脳死後臓器提供安楽死」も?(2012/2/14)
スイスの「バイオ医療倫理学者」が幇助自殺者からの臓器提供を提唱(2014/12/16)
英国の移植医、「胎児に重篤な欠陥あったら、生んでもらって臓器ドナーに」(2016/3/10)
オランダの研究者らから「臓器提供安楽死」の提言:「安楽死後臓器提供」はベルギーとオランダで既に40件以上(2016/3/31)
カナダ・ケベック州も安楽死後臓器提供へ?(2017/1/15)
カナダの医師とトゥルーグが臓器移植安楽死に向けた法改正を提言(2018/9/20)
At international medical conferences in 2018 and 2019, I listened as hundreds of transplant and critical care physicians discussed “donation after death.” This refers to the rapidly expanding scenario in Canada and some Western European countries whereby a person dies by euthanasia, with a legalized lethal injection that she or he requested, and the body is then operated on to retrieve organs for donation.
At each meeting, the conversation unexpectedly shifted to an emerging question of “death by donation” — in other words, ending a people’s lives with their informed consent by taking them to the operating room and, under general anesthesia, opening their chest and abdomen surgically while they are still alive to remove vital organs for transplantation into other people.
At each meeting, the conversation unexpectedly shifted to an emerging question of “death by donation” — in other words, ending a people’s lives with their informed consent by taking them to the operating room and, under general anesthesia, opening their chest and abdomen surgically while they are still alive to remove vital organs for transplantation into other people.
患者が死んでいない限り臓器を取り出してはならないとする、
いわゆるデッド・ドナー・ルールでは避けられない臓器の傷みを、
この方法であれば回避することができる。
いわゆるデッド・ドナー・ルールでは避けられない臓器の傷みを、
この方法であれば回避することができる。
トゥルーグらの論文は、
患者の自己決定であればデッド・ドナー・ルールにこだわらずに
本人の意思を尊重できるよう法改正を、と提言するもの。
患者の自己決定であればデッド・ドナー・ルールにこだわらずに
本人の意思を尊重できるよう法改正を、と提言するもの。
しかし、著者はこの提言には以下の3つの懸念を表明している。
● スティグマと社会的軽視を経験してきた障害者に、
邪魔者は臓器でも提供して人の役に立てという誘導を受けるのではないか?
● 自分の意思を表明できない人たちが瞬く間にドナーに含まれていくのでは?
● 2500年もの間ずっと命を奪うことを禁じられてきた我々医師にとって、
それは何を意味することになるのか?
邪魔者は臓器でも提供して人の役に立てという誘導を受けるのではないか?
● 自分の意思を表明できない人たちが瞬く間にドナーに含まれていくのでは?
● 2500年もの間ずっと命を奪うことを禁じられてきた我々医師にとって、
それは何を意味することになるのか?
著者が引用するのは、マサチューセッツ州のPAS合法化法案をめぐる議論の際に
NYTにBen Matlinが寄稿した文章。
https://www.nytimes.com/2012/11/01/opinion/suicide-by-choice-not-so-fast.html
NYTにBen Matlinが寄稿した文章。
https://www.nytimes.com/2012/11/01/opinion/suicide-by-choice-not-so-fast.html
「教唆」と「自由な選択」の境目がいかに危ういか、障害者としての経験から述べたもの。
また、著者はさらに、
私が以下の2つのエントリーで拾った話題を問題にしている。
私が以下の2つのエントリーで拾った話題を問題にしている。
「舞台となっているのは2022年。あと3年先のことだ」と著者はこの論考を締めくくる。
『ソイレント・グリーン』についてはこちらに ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3
テキサスで新たな「無益な治療」訴訟
久々に、個別の事例の報道が目についたので。
患者はCarolyn Jonesさん61歳。
転院先を探すための猶予は10日。5月13日になればCarolynさんは死ぬことになる。
主たる介護者である夫は、Texas Right to Lifeの協力を得て、
転院を模索しているが、病院から提示された転院先に移るためには
Carolynさんの場合、メディケイドの了解が必要となり、それには時間を要する。
転院を模索しているが、病院から提示された転院先に移るためには
Carolynさんの場合、メディケイドの了解が必要となり、それには時間を要する。
そのため、夫はTexas Right to Lifeを通してついた弁護士と相談のうえ、
10日間という期間の延長を求めることも考えているとのこと。
10日間という期間の延長を求めることも考えているとのこと。
【5月17日追記】続報。
キャロラインさんは13日に呼吸器を外されたものの、
多くの募金と支援者らの努力によって、プライベートな救急車で無事に転院された模様。
https://www.faithwire.com/2019/05/16/update-texas-woman-forcibly-taken-off-life-support-has-been-saved-by-a-pro-life-group/
キャロラインさんは13日に呼吸器を外されたものの、
多くの募金と支援者らの努力によって、プライベートな救急車で無事に転院された模様。
https://www.faithwire.com/2019/05/16/update-texas-woman-forcibly-taken-off-life-support-has-been-saved-by-a-pro-life-group/
【5月15日追記】
テキサスではこの法律をめぐる攻防が続いてきたけれど、最近もこんなニュース(4月30日)も。
テキサスではこの法律をめぐる攻防が続いてきたけれど、最近もこんなニュース(4月30日)も。
Texas Committee Passes Bill to Overturn Rule Allowing Hospitals to Euthanize Patients After 10-Day Notification
https://www.lifenews.com/2019/04/30/texas-committee-passes-bill-to-overturn-rule-allowing-hospitals-to-euthanize-patients-after-10-day-notification/
https://www.lifenews.com/2019/04/30/texas-committee-passes-bill-to-overturn-rule-allowing-hospitals-to-euthanize-patients-after-10-day-notification/