米FDAが女性版「ピンク・バイアグラ」を認可

これまで2回、認可申請を却下されてきた
バイアグラの女性版で「ピンク・バイアグラ」とも呼ばれる、
Addyiが米国でついに認可された。

FDAの米国薬ライセンス委員会で証言した女性の中には
かつての情熱とロマンスを取り戻すことができると訴える声もあったが、
同時に、性欲が高められればパートナーとのかつての関係を取り戻せるとの
見果てぬ夢を見せるだけでは、との懸念の声もある。

もっと深刻なのは、安全性への懸念。

Addyiはバイアグラと異なり、脳に作用する抗ウツ薬。

これまでFDAが2度に渡って認可申請を却下してきたのも
利益が小さく、副作用が大きいことが理由だった。

今回の認可にも、
重大な副作用を警告するブラック・ボックス警告が条件。

アルコール類と一緒に摂取することは禁忌で、
更年期を過ぎた女性や肝機能に問題がある人は認可の対象外。
低血圧を引き起こしたり、意識喪失の副作用もありうる。

FDAのCenter for Drug Evaluation and Researchの
Dr. Janet Woodcockは「患者も処方する側も、治療を検討する前に
Addyi使用に関わるリスクを十分に理解しておかなければ」と。

(「治療」だって……。)

アルコールの影響については
25人を対象にした研究はあるものの、その23人は男性だったことから
FDAは製造販売元のSproutにさらなる調査研究を求めている。

さらに、女性の43%が性欲を失った経験があるとする
1999年のデータがよく引き合いに出されるが、
そこではそのことが気になるかどうかは問われていないし、

もっと最近のより大規模な英国の調査では
性欲低下とその結果として苦しんだ経験があるとした女性は
約10%だった。

性的機能について研究してきた心理学者の Dr. Petra Boyntonは
セックスに興味がなくなることは現実に女性の不安でもあるが、
そこで女性が本当に不安なのは、
そんな自分は正常ではないのではないかとか、
それによってパートナーに捨てられるのではないか、
他の皆はすごいセックスを体験しているのに私は何か欠けているのでは、など、
メディアが振りまくセックスに関するご情報に基いた別の心配。

Addyiは米国では10月から販売開始、
その後、ヨーロッパなどでも認可を申請するかどうかは不明。

Dr. Boyntonは「認可されようといまいと、この薬は
性欲がなければ、あなたはどこかおかしいという幻想を根付かせるでしょう」

ところで、認可に向けてFDAにキャンペーン攻勢をかけてきたのは
Even the Scoreという団体。

男性には性機能不全の治療薬として
バイアグラ他25種類(うち17種はテストステロン)も選択肢があるのに
女性には何もないのは性差別だとして、女性の権利としてAddyiの認可を主張してきた。

もちろん、資金源の一つはSprout製薬。
同じ領域の別会社、Trimelも資金を提供している。



NYTにも記事あり。

先々週、これらの記事を読んで、
前のブログで考えてきた、ざっと以下のような文脈だなぁ、と考えた。


もう日本でも、これと同じカラクリだらけになってしまったもんなぁ……と
憂いと脱力感を深めながら、エントリーにする気力が沸かないでいたところ、

今朝の新聞をめくっていて、
週刊現代』の広告に、にわかに目が覚める思いがした。

ついに女性版が登場 ふたりで試した! 驚いた!!
これが夢の「Wバイアグラ」セックスだ


FDAが認可したことがニュースになり、
米国でもまだ売り出されていないという段階で
日本の週刊誌にこんな記事が書かれる。

Even the Scoreのようなカラクリとゼニが
とっくの昔から日本でも蠢いていたわけですね……。