オレゴン州の「尊厳死法」2015年報告
オレゴン州の尊厳死法の2015年の報告が出ています。
上記グラフは2016年1月27日段階のもの。
青が尊厳死(OR州ではPASのこと)法Death With Dignity Act によって致死薬の処方箋を受け取った人の数。
緑が尊厳死法DWDAによって死んだ人の数。
それを飲んで死んだ人は991人。
が、BioEdgeのCookは、
公式の統計から消えてしまう人たちがいるという問題を指摘しています。
死んだ人は132人。
今年処方してもらって、まだ飲んでいない人がもちろんいる。
今年、DWDAで処方された致死薬を使って死んだ人は125人。
処方された致死薬を使う前に死んだ人が50人いる。
5人については、処方された致死薬で死んだかどうか不明。
38人(17%)については、薬の使用の有無についても、現在の生死についても情報がない。
つまり、統計から消えてしまう人たちがいる、とクック。
また、そのほかに、これまでもたびたび指摘されてきたことですが、
オレゴンの州民像は米国平均よりもはるかに白人人口が多く、学歴も高い。
PAS希望の理由は
96%が「人生を楽しいものにする活動ができなくなってきた」
92%が「自律を失いつつあること」
75%が「尊厳がなくなった」としており、
(私としても個人的に、「事実として痛みのコントロールが十分にできていないこと」と
「痛みを十分にコントロールしてもらえないのではと不安」というのを
一つの回答選択肢にひっくるめるというのは、どうよ、と思うんだけれど)
クックも、
これでは実際に軽減不能な痛みを経験した人がどれだけいるか分からない、と指摘している。
それから、致死薬を飲んで自殺した人がどのような状況で亡くなったか、
そのプロセスについては統計は非常に乏しく、
132人のうちの80%では
死ぬまでにかかった時間も、なんらかの困難があったかどうかについても情報がない。
2015年で情報があるのは27件のみ。
そのうち4件で、嘔吐やけいれんがあった。
死ぬのにかかった時間は5分から34時間。
ただし、その情報があるのは25人のみ。
過去には104時間、つまり4日以上かかったケースも。
奇妙なのは、1997年からこちらで、
致死量の薬を飲んだ後で意識を回復した人が6人いたこと。
それらの人は自殺幇助の統計には含まれていない。
その人たちはもともとの病気で死んだものと思われるが、
確認することはできない。
もしかして今も生きているということだってあるかもしれない。
Oregon releases its 2015 ‘death with dignity’ stats
BioEdge, February 20, 2016
【3月4日追記】
PAS合法化反対アドボケイトから、オレゴンではC&Cに電話すれば協力してくれる推進派の医師を紹介してもらえるので、実質的には電話一本でPASが可能な状況だ、と。15年致死薬を飲んだ人の医師と治療関係があった期間の中間値は9週間だった、最初の要望から死ぬまでの期間の中間値は45日間、最短では15日というケースも。
OR州の2010年のPAS報告書 自殺者また増加](2011/1/28)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara2/64361577.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/66312569.html
OR州のメディケイドとPASの関係について、癌専門医の投書](2013/4/30)
OR州のメディケイドとPASの関係について、癌専門医の投書](2013/4/30)