カナダ政府、安楽死と医師幇助自殺合法化法案を議会に提出

昨年2月のカーター訴訟の最高裁判決が1年以内の法整備を命じたものの、
政権交代による6月までの猶予が認められているカナダ政府が、
昨日、安楽死と自殺幇助を合法化する法案を議会に提出。

多くの報道が流れており、
「医師幇助自殺(PAS)合法化法案」としている記事を多数見かけますが、

提出された法案は、PASのみではなく安楽死も合法化するものです。

カナダ法務省の medical assistance in dyingの定義はこちらで、↓
http://www.justice.gc.ca/eng/cj-jp/ad-am/about-apropos.html#carter

以下のように書かれています。

「medical assistance in dying 死における医療的援助」とは、人が自分の命を終わらせるための医療的手助けを求め、得ることが出来る状況のこと。これは以下の2つのいずれかによって達成されます。

・医師幇助自殺
・自発的安楽死


対象者要件は、
これまで検討委員会提言などで取りざたされてきたような広範なものではなく、
報道からポイントをざっと拾ってみると、

・カナダの医療制度の受給対象者に限定することで国外からのツーリズムを防止。

・意思決定能力のある18歳以上の成人に限る。

・事前指示は認めない。

重篤で不治の疾患、病気または障害があること。

・不可逆的な衰弱が進んだ状態で、長期的な耐え難い苦痛があること。

・その苦痛は、本人に許容できる方法では緩和できないこと。

・自然死が合理的に予見可能であること(ただし、どの期間内かは特定されていない)。

・2人の独立した証人の署名入りの書面による申請が必要。

・医学的な評価が最低1回と、実施までに15日間の待機期間が義務付けられる。





【4月16日追記】

同法案では、医師だけでなく、
既にカナダの広範な地域でプライマリー・ケアを担っているナース・プラクティショナーにも
自殺幇助と安楽死の実施を認めている。全土に平等なアクセスを保障するため?

また、医療従事者に対して思想信条から関与拒否を認めるかどうか、
その際に行ってもいいという医療職への紹介を義務付けるかどうかについては法案は曖昧。
各州にゆだねられるか?



【16日追追記】
アルベルタで2例目となる男性に、昨日、裁判所が個別にPADを認めています。
この男性は、苦痛緩和のための鎮静によって意識を失うことは希望しない、とのこと。
http://calgaryherald.com/news/local-news/second-calgarian-granted-court-permission-for-doctor-assisted-death




カーター訴訟のBC州最高裁判決はこちら ↓
カナダBC州最高裁からPAS禁止に違憲判決(2012/6/18)

それを受けた、カナダ連邦最高裁判決がこちら ↓
カナダ最高裁、判事の全員一致でPAS禁止を覆す(2015/2/7)