オランダで健康な高齢者の「理性的安楽死」認める法案

オランダ政府が安楽死の要件を健康な高齢者に拡大する方向で
法改正を検討していることについては10月に以下のエントリーで紹介していますが、



いよいよ法案が出てきました。

議会に提出される前にパブコメ募集があるようですが。

75歳以上の高齢者であれば
軽減できない耐えがたい苦痛があるという現在の要件を満たしていなくても、
an ‘intrinsic and consistent’ wish to die(本気で一貫して死にたいと望んでいる)場合には
合法とする、と。

その「本気」と「一貫性」を担保するために
最初に要望があって認められた後に最低2ヶ月の期間を置いて
もう一度その意思が確認されることが求められ、

その他の安楽死ケースと同じく、事後に安楽死委員会の調査対象となる。

それから、ものすごく重要なこととして、
医師以外に看護師や心理学者などにも安楽死を承認し実施する権限が広げられていること。


法案を主導した議員は

There are plenty of examples of people who say, “I’ve had enough of life, I have children and grandchildren, they’re all doing well, but I’m detached, I don’t play a role in their lives any more. The only thing waiting for me is decline and I don’t want to go through that.

次のように言う人の事例が沢山あるのです。

もうこれ以上生きたくない。子どもも孫もいるけど、
彼らは彼らでちゃんとやっていて付き合いはないし、
もう彼らの人生に自分が果たすべき役割もない。

残っているのは衰えていくことだけで、
そんなことを経験したくない。


同議員によると、
自己決定能力のある人に限定されるとのことなのだけど、
オランダでは既に認知症の人にも精神障害者にも安楽死が行われているので
そこの整合性が気になるところ。



現在、オランダの安楽死者の70%ががん患者だが、
過去5年間に安楽死による死者数は7倍にふくれあがっているとのこと。






もっとも、スイスでは既にこういう状態だし、
スイスのExit, 病気の高齢者なら終末期でなくても自殺を幇助(2014/5/25)


それから米国のC&C周辺では
終末期ではないために「尊厳死法」の対象とならない高齢者に向けて
こんなキャンペーンが進行中 ↓
C&Cの「VSED(自発的餓死)で死にましょう」キャンペーン(2014/4/25)



このあたりに、「死ぬ権利」は本当に患者の権利運動なのか、と
疑問を感じてしまうのだけれど。