希望者急増中、カナダの安楽死合法化によって医療費1億ドル超の削減効果

いつか、こういうデータが出てくるだろうとは思っていたけど、

カナダ、アルベルタ州カルガリー大の研究者
Aaron Trachtenerg医師とBraden Manns医師が
MAID(安楽死と医師幇助自殺)の合法によって削減される医療費を試算した結果を
23日に刊行されたカナダ内科学会ジャーナル(CMAJ)で報告している。

それによると、MAIDを利用して死ぬ人数によっては、
年間1億3880万ドルの医療費削減の可能性があるとのこと。

人数の予測は、ベルギーとオランダと同じ、総死亡件数の1~4%とし、
がん患者の割合や、年齢、MAIDにより短縮される生存期間などについても
ベルギーとオランダのデータに基づいて試算したとのこと。

著者らは、制度レベルで、
制度そのものに必要となるコスト(2人の医師への報酬、薬剤費など)と
それによって削減される医療コストをはじき出してみたに過ぎず、
けっして意思決定でコストを勘案しろという意図ではないと
わざわざ断っているし、

著者らは最終的には
緩和ケア充実の必要を説いているようだけど、

論文には以下のくだりも。

as death approaches, health care costs increase dramatically in the final months. Patients who choose medical assistance in dying may forgo this resource-intensive period

死が近づく最後の数カ月は、医療費は劇的に増加する。
MAIDを選択する患者は、この資源集約的な期間をなくすことになるだろう。


ちなみに、MIADにかかる費用は年間で150万ドルから1500万ドル。
削減される医療費は350万ドルから1億3900万ドル。






一方、20日の以下の記事によると、

アルベルタ州でMAIDを選択する人は増加を続けており、
今では毎週5人から6人も。

しかも家で死ぬことよりも病院で死ぬことを選択する傾向があり、
MAIDの3分の2は医療機関で行われている。

また、申請したものの意思決定能力や精神障害や終末期ではないなどの理由により
却下された人が先週は36人。





ちょっと前に、ツイッターで日本の医療ジャーナリストが、
海外の安楽死合法化の狙いが医療費削減にあるというのはカン違いで、
丁寧なセーフガードを制度化すると多大な費用が掛かるので、
医療費は削減されることにはならないのだ、と書いておられて、

そうかなぁ……と、個人的には引っかかったんだけど、

こういうデータが出てくると、
データの内容からも、出てくること自体にも、やっぱり……と。