2014年1月14日のメモ

NM州でPAS合憲判断。もともとの病気で死に瀕している人への致死薬の処方は aid in dyingであって自殺幇助とは別、との主張が認められた格好みたい。こういう論法が出てきたこと、要注意。
http://www.abqjournal.com/335913/abqnewsseeker/judge-doctors-can-prescribe-meds-to-aid-dying.html
http://www.local10.com/news/new-mexico-judge-oks-assisted-suicide/-/1717324/23916640/-/15ad0gl/-/index.html

スイスのディグニタスでの幇助自殺、2013年は202人の新記録
http://www.irishtimes.com/news/ireland/irish-news/irish-resident-among-202-people-to-have-had-an-assisted-suicide-1.1654177

これまでカナダで裁判になった自殺幇助事件。1998年から6件。
http://www.huffingtonpost.ca/2014/01/07/canadian-assisted-suicide-cases_n_4557153.html

日本語。ベルギー最高齢アスリートが安楽死 シャンパンで乾杯して旅立つ:これまでベルギーからは散々いろんな事件の情報が流れていたのに、ずっとスルーしてきたメディアが尊厳死法案提出となるや、こういう報道を始める。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140108-00000031-jij_afp-int

New York Law School Law Review の最新号に、「終末期の選択の自由:移り変わる法的政治的風景における患者の権利」と題して、こちらのエントリーで紹介した同じタイトルのシンポの内容が報告されている。Not Dead Yetのドレイクがポウプと激しくやり合った、それでピースが最後にでてきて、いいところをさらっていったのが印象的だった。もう一つ、ドレイクとピースの情報によれば、このシンポの登壇者の大半がC&Cの関係者。こういうことはなかなか表に出ない。
http://www.nylslawreview.com/201314-volume-58-number-2/

スウェーデンで子宮移植を受けた女性が9人に。Gothenburg大学のMats Brannstrom医師。関連はこちらに ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63455632.html
http://www.huffingtonpost.ca/2014/01/13/womb-transplants_n_4589077.html?ncid=edlinkusaolp00000008


日本。染色体異常が自己修復 iPS細胞で山中教授ら新発見
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140113-00000011-asahi-sci

上記のニュースについて、『運命の子 トリソミー』の著者、松永正訓医師がブログで、「そんなこと、残念だけど、ない」と。「科学者はすぐに○○の役に立つという言い方をしますが、それは研究費の獲得という目的が頭にあるからです。この論旨でいけば、「がん」などは何千回、何万回、解決されたか分かりません。患者さんに、有りもしない期待を持たせることは残酷だと思います。自制して欲しいと思います。」: 同感。研究者は研究費の獲得のためにこれを言い、政府やメディアは科学研究に大金を注いで国際競争に生き残る以外にすべがないから、その大金投入の免罪符として、こうした幻想をばら撒く。
http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/2014/01/13/7191452
関連エントリー
事業仕分けの科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)

どの医師がどういう薬をどれだけ処方しているかの情報把握にビッグファーマは大金を投じている。
http://www.propublica.org/article/big-data-big-pharma-big-money

医療過誤訴訟を起こそうとして弁護士に引き受けてもらえなかった10人の患者の体験談。ProPublica。
http://www.propublica.org/article/ten-patient-stories-when-attorneys-refused-my-medical-malpractice-case

日本語。コロラド州大麻解禁: 初日だけで100万ドル超売り上げ
http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/05/pot-sales_n_4546891.html


日本。シングルマザーへのまなざし~「生活保護母子家庭は怠け者」発言から 中野冬美 WAN 2009年9月15日:ちなみに「生活保護母子家庭は怠け者」発言は当時の枡添厚労相
http://wan.or.jp/reading/?p=140

日本。人工知能学会、新学会誌の表紙問題で見解公表 「女性差別の意図はない」:差別意識というのは差別する人にとっては常識の一部だから、「差別する意図」の有無の問題じゃない。「女は外で働かずに家にいて掃除洗濯をやっているべき」という持論の人だって「女性を差別する意図はない」と言うだろうよ。安倍首相の「他国の人々の気持ちを傷つける意図はない」と同じ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140109-00000048-zdn_n-sci



日本。認知症研究、元東大教授「改ざんあった」
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=90845

「ホスピタリスト」というジャーナルが日本で刊行されている。入院患者がますます複雑多様化する現代において、最新の医学知識のみならず、心理面・社会面を含めた、幅広い知識とエビデンスに基づく全身管理を提供する必要がある。 ●そこで、病院医療の中心にあって、患者のベストなアウトカムへ向け、患者・家族・コメディカルをリードし、専門科をコンダクトしていく病棟ジェネラリスト=ホスピタリストが、今求められている。 ●本誌では、患者を総合的に診るために、日常臨床でホスピタリストに求められる知識・能力、加えて専門科との真の協働を可能にすべく、そうした知識・能力の裏付けをも提示。 ●メインの特集では、疾患別にテーマを選び、診断のストラテジー、専門科へのコンサルトのタイミングなど、臨床の場での“ものの考え方"を具体的な症例も交えて解説。エビデンスに基づいた世界標準の医療を示し、豊富なリファレンスで幅広い知識を提供。:「世界標準」がなんかコワい。ビル・ピースが真夜中に会ったこともない医師から自己決定権の行使による消極的安楽死を示唆されたのもホスピタリストだった。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4895929361/ref=pe_396832_161234792_em_ti


【読んだ本】
・中野剛志 三橋貴明売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体』徳間書店 2012

「……平成の売国奴たちは、日本をどこに売ろうとしているのか。アメリカか? 中国か?
 違う。彼らの売り先は、アメリカとか中国とかいった「国家」ではない。グローバル化した資本なのだ。つまり、グローバル資本がしこたま儲けられるように、日本を「構造改革」する……」(p.249)
「……結局のところ、TPPで得をするのはアメリカという国家ではない。ワシントンを動かしているグローバル資本なのだ」(p.250)
「……世界中で、グローバル資本に国を売り飛ばす大バーゲンセールが繰り広げられている」(p.251)
:でも、この2人にして製薬業界にはちっとも目が向いていなくて、向いているのは自動車産業あたりまでというのが、すっごく以外だった。モノへの欲望でショーバイしているあたりから、生死をめぐる欲望と生命・身体の“コントロール幻想”でショーバイするあたりへと、グローバル強欲人でなしネオリベ金融(慈善)資本主義の重心はシフトしているんじゃないかと思うのだけれど。

吉村昭が伝えたかったこと』(文春文庫):吉村昭の『生麦事件』の中で参勤交代の詳細がおかしいことや、それを対談で指摘しても吉村氏が沈黙して終わったこと、氏が「知らない」と絶対に言わなかったなど、歴史学者の視点からの批判が興味深かった。いかに調査の鬼だといわれる小説家でも、そりゃ限界はあるだろうよ、ということと同時に、歴史学者がムキになって小説家に歴史学者と同じレベルの正確さを求めているところと。私みたいなのが少々の事を調べて書けば、生命倫理学や医学や医療職やフェミニズムや宗教それぞれの専門家からすれば「十分な知識もない素人が」と突っ込みどころ満載だろうし、それでも、その人その人の仕事でなければできないこと、言えないことがあるなら、すべてが専門分野の域に達していなければ全く意味がなく全否定されるべき、というものでもないだろうに、と最近つくづく思っていただけに。

【読みたい本】
森達也 クラウド―増殖する悪意(dZERO)