アルツハイマー病の配偶者と親密な夫婦関係のまま介護している人のコミュニケーション

認知症の人を介護しつつ
親密な夫婦関係を維持している介護者のコミュニケーションには
どういう共通項があるか、について

これまでも散発的な調査はあったものの
初めて大規模な調査がInternational Journal of Human Caringに報告されている。

タイトルは
"Maintaining Caring Relationships in Spouses Affected by Alzheimer's Disease."

著者はChristine L. Williams。
professor and director of the Ph.D. in Nursing Program in FAU's College of Nursing。
a board-certified clinical nurse specialist in adult psychiatric mental health nursing。

研究チームのメンバーが10週間にわたり、
15組の夫婦の自宅を週に1度訪問し調査。

10分間自分達で選んだ話題について会話をしてもらい、
その会話は研究者が部屋を出てから、記録された。

30の会話を質的方法で分析。

配偶者ケアの大きな特徴として
以下の3つがあることが分かった。

・共感を持って関わる。
・辛抱強く働きかける。
・深い結びつきがあることへの信頼がある。

また、コミュニケーションのパターンとしては10が分かった。

例えば、
「今日のニュース」は日々の生活のありふれた活動について話すことを通じて
夫婦双方とも、いつもと変わらない日常とその穏やかさを確認できる。

「思い出を語り合う」ことによって介護者は
いろんな人や過去の出来事の思い出を配偶者と振り返ろうとしている。

また「物語りをする」では、
配偶者から言葉による応答はなく介護者の独り言のようにも聞こえるが、
介護者は辛抱強く詳細な語りを続けていた。

「予期せぬ反応を喜ぶ」では、期待以上の反応が得られた時に
介護者が大きな喜びを見せた。

また、介護者は配偶者の語りを、その内容の正しさよりも関係性を重んじて
さえぎったり口を挟むことなく、そのまま尊重していた。

Williams氏は
「明らかに介護者である配偶者の方が親密な関係を維持する責任の大半を担っていますが
アルツハイマー病の配偶者の方も積極的に参加しているエビデンスもありました。

会話が成立している唯一の明らかなエビデンス
目をずっと合わせていることだけ、という会話もありましたが、
お馴染みの歌を歌うことで夫婦の間に会話が開けることもありました」

15組は平均結婚47年で、中間所得層、概して教育レベルは高い。
介護者の年齢の中間値は77歳で、アルツハイマー病の配偶者の年齢の中間値は80歳。

介護者の68.8%が女性で、平均4年間介護しているとのこと。