母親仲間の記事「楽しかった保育」を紹介します

娘がお世話になっている重症児者施設でご一緒している
K君のお母さんが園の新聞(3月25日発行)に書かれた記事
「楽しかった保育」を、ご本人の了解を得て、転載させていただきます。


「楽しかった保育」

息子は2歳の時、急性脳症で一夜にして寝たきりになりました。ついさっきまで元気に遊んで、ごはんも食べていた子が、自分で呼吸することもやめて眠り込んでしまうなんて、とても信じられないことでした。

「もう長くは生きられないんだろうな」と、長いあいだ思っていましたが、何度も命の危機を乗り越え、たくましく生き延びて、この春小学生になります!

食いしん坊で、甘え上手で、けっこうワガママな性格は、寝たきりになっても変わらないようで、1日1回の保育の時間が大好きでした。保育のない休日に、おもちゃのピアノで保育の始まりの音楽を弾いてあげると、心拍がググーっと上がったこともあります。

冷たいスライムを手にかけてもらうと、手首をくるんと返したりして、その反応に先生と2人で大喜びした思い出もあります。春にはイチゴを、雪が降ったら雪も触らせてもらいました。5歳の時は、立派な七五三の式もして頂きました。プロの写真屋さんが来てくだって、スタジオで撮ったような立派な家族写真は、ポスターにして我が家のリビングに飾っています。

声も出ず、まぶたも動かない子に、絵本を読んで、やさしく語りかけ、楽しい歌やふれあい遊びをしてくださった先生に、心から感謝を申し上げます。寝たきりになる前の、元気な様子を思い出しては、後ろ向きな涙を流していた日々もありました。本当なら幼稚園でお遊戯会や運動会も楽しんでいたはずなのに、と思ったこともあります。でも、保育の時間のほんの小さな指や肩の動きに、みなさんと一緒に大喜びできることは、奇跡なのだと気づかせてもらいました。

子どもには、多くを望まず、生きていてくれるだけでいい、と思います。これから始まる小学生生活に、親子でワクワクドキドキしています。きっとマイペースな息子は、「お母さん、期待しすぎ~」と、あきれているでしょうね。